作家の味方

小説家になるための総合情報サイト

 
小説家になるために必要な全ての知識が、いまここに!【Project Creator’s Ally】




アリストテレス著『弁論術』をわかりやすく解説!|弁証術との違いとは?【入門編】

アリストテレス著『弁論術』をわかりやすく解説!


『弁論術』と聞くと「なんだか難しくて頭が痛くなりそうだな」と思われる方も、いらっしゃるかもしれませんね。

 

しかし、解説の仕方や書きぶりが特徴的なだけで、内容だけをまとめてみると理解するのは難しくないので、安心して読み進めていただければと思います。

 

また、今回は「厳密さ」よりも「理解のしやすさ」を優先して、お届けしたいと思いますので厳密なニュアンスで受け取りたいという方は、岩波文庫のアリストテレス著『弁論術』を購入してみてください!(笑)





 

そもそも『弁論術』とは?


アリストテレスによれば「弁論術とは、どんな問題であってもその問題を解決する説得方法を見つけだせる能力のこと」なのだそうです。厳密さをさておけば、説得術と大差ありません。

 

ちなみに、よく似たものに『弁証術』と呼ばれるものもありますが、こちらは目的が弁論術が言うところの「説得」ではなく、現代における「科学的論証」に近い印象です。弁論術は相手が腹落ちすれば良いだけなのに対し、弁証術は証拠や正しさに論点が置かれているのです。

 

というわけで、今回は弁論術の方を解説していくわけですが、まずは結論から。人々をスムーズに説得するためには、どのような言動に出ればよいのでしょうか?

 

アリストテレス曰く、「①人の役に立つ徳の高い人柄を装い」、「②帰納法と演繹法を用いて、理屈の世界を支配し」、「③対立候補の弁論を極論や反例でそらし、民衆の感情を煽る」ことが重要なのだそうです。

 

といっても、なかなか端的に伝えるのは難しいので、順を追って説明していくことにしたいと思います。

 

人が説得されるときとは?


まず、人を説得したいのであれば「人が説得されるとき」とは、どのような状態のことを指すのか知る必要があります。つまり、弁論におけるゴールの明確化ですね。

 

前回の記事とも重複してしまいますが「人が説得されるとき」というのは、概ね以下の3通りでした。

人が説得されるとき
  1. 損害と利益の大小関係が明確化されたとき(議会弁論)
  2. 論理的に不正または正しさが証明されたとき(法廷弁論)
  3. より多くの民衆に称賛または非難させたとき(演説的弁論)

 

ここで「利害を論点として話している人」と「正しさを論点として話している人」との議論のように、1~3を跨いだ状態で行われる弁論においては、そもそもの論点がずれているため普通に考えれば不毛な議論となります。※これにより、三権分立(司法・立法・行政)という仕組みとなっているようです。

 

なぜなら、例えば国益のために奴隷取引を行うか賛否をとろうとしていた場合、利益は発生するでしょうが民衆の称賛が得られるか、正しい行為かどうかは全くの別問題であり、どちらかが論点の土俵を合わせなければ意見はただ平行線を辿るばかりだからです。

 

また、どの論点を全面に出してくるのかというのは、相手の性格によって変化するでしょう。幸福や人生の目標を掲げる未来志向なタイプであれば、今後の利益や損害を考えることがどうしても優先的になりますし、現在思考であれば、たったこの瞬間その人を称賛したいか批判したいかが重要になります。

 

過去思考の人も同様でしょう。彼らは過去の実体験を元に「少なくとも正しくなかった行為だったか」どうかを見分ける観察眼を持っていますから、過去の失敗に該当するか否かが重要な論点になってくるというわけです。

 

といっても、そんな事を言っていたら何も議論できなくなりそうなものでしょう。現に、私たちは議論によっていろんなことを決めてきたはずです。では、どのように決めてきたのでしょうか?

 

それは「賛成多数」を取ることに他なりません。これが民主政と呼ばれているものです。

 

つまるところ、民主主義国家において人を説得したいのであれば、弁論相手との対話の中で聴衆の中にいる未来派には利益を提示し、現在派の感情はうまく扇動し、過去派には理論的な説明を行うことで多数の票を獲得することが定石であるというわけです。

 

逆に言えば、弁論における対立相手の答弁に対しては、未来派には損害を提示し、現在派には批判されるであろう事実を持ち出し、過去派には相手の理論の粗を突く場面を見せつけてしまうことも重要となるでしょう。

 

人を説得するために必要な武器とは?


さて、ここまでで「人が説得されている状態」というのは、どのような状態を指し示すのかということを説明してきました。続いては、より具体的な方法について述べていくことにしましょう。

 

まず、アリストテレスが武器として挙げているものは「人柄」、「理屈」、「感情」の三要素です。これは、まさに先述しておいた未来・過去・現在派、それぞれに有効な武器となるでしょう。

 

といっても、どうやら1対1の関係ではなさそうです。つまるところ、未来派の人々には計画と理想像を作ってあげる必要があるために「理屈」と「感情」の両方に主眼があったりするのです。

 

一方、現在派の人々は今の感情を優先するという意味では「人柄」と「感情」に主眼を置きがちであり、過去派の人々は「人柄」と「理屈」に重きを置きがちであるということですね。

 

そして、それらの武器を使えばいいということがわかれば、あとは事前に聴衆における現在・過去・未来派の構成比を知っておくと注力すべきポイントも見えてくることでしょう。限られた時間の中で勝利するためには、選択と集中という考え方がとても重要です。

 

例え話ですが、もしあなたが老齢だったとすれば現在・過去・未来のいずれを重視して、物事を考えていくでしょうか?過去のことを考える比率が若者より多くないでしょうか?

 

逆に、年齢が若ければ若いほど過去はほとんど存在しないはずなので、未来派や現在派の比率が多くなるはずです。そう、このように聴衆の年齢によっても構成比率は変動するのです。

 

また、富を持ちやすいのは未来派でしょう。夢を持ち計画的に動けるタイプの人間には、起業家や経営者が多いはずだからです。富があれば、メディアが間接的に現在派を扇動することもあります。

 

このように、ターゲットを何処に絞って演説や弁論をするのかということを弁論に入る以前から、注意深く観察し決定しておくことは重要なことなのです。

 

作家さんで言えば、素敵な理想や考え方を伝えられる人柄を持つよう心がけ、読者に同情させたり、気にさせたり、ストレス発散させるような展開を用意しながら、絵空事ではない自分事にさせるような理屈やリアリティも忘れないこと。

 

はたまた、そのいずれかに読者層を絞ってしまうか、多数派を取りに行くのかという事前戦略が本質的には重要なのかもしれませんね。

 

さて、人を説得するためにはどうすれば良いのか、ザックリ解説してきましたが、『弁論術』の内容からすれば半分すら話せていないのが正直なところです。

 

とはいえ、当サイト『作家の味方』は作家さん達と共に物語や小説の書き方を考えていくというコンセプトで運営しているため、続いてはここまでの『弁論術』を実際に物語に応用することで、読者層別に好まれやすいサクセス・ストーリーの作り方について議論を進めていくことにしたいと思います!

 

▼ 和訳版本編が読みたい方はこちら!

 

ご精読ありがとうございました!(*´艸`*)

 

コメントを書き込む

*

CAPTCHA




Return Top