レトリック・修辞技法の意味とは?
レトリック(修辞法・修辞技法)とは、言葉を巧みに用いて効果的に表現する技法たちのことです。英語では、レトリック(rhetoric)と書きます。具体例としては、比喩(ひゆ)や倒置法(とうちほう)などが挙げられます。
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小説家のためのレトリック講座 – 目次
> レトリック講座vol.1:比喩 (Metaphor)
> レトリック講座vol.2:漸層法 (Climax)
> レトリック講座vol.3:反照法 (Anti-reflection)
> レトリック講座vol.4:照応法(Anaphora)
> レトリック講座vol.5:同語反復(Tautology)
> レトリック講座vol.6:黙説(Reticence)
> レトリック講座vol.7:誤用法(Malapropism)
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> レトリック講座vol.12:珍しいレトリック(others)
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レトリック(修辞技法)の意味と種類一覧
レトリックの意味は、文章において巧みな表現をする技法のことですが。正確性を期すために、辞書からも引用しておこうと思います。
レトリック [3][1] 【rhetoric】
- 修辞学。美辞学。
- 修辞。 「 -にすぐれた文章」
- 実質を伴わない表現上だけの言葉。表現の巧みな言葉。 「巧みな-にごまかされる」
引用元:三省堂 大路林 第三版
レトリック【rhetoric】の意味
- 修辞法。また、修辞学。レトリケー。
- 美辞麗句。巧言。「彼一流のレトリックにやられた」
引用元:goo辞書
また、レトリック(修辞技法)には、以下のような種類の技法があります。
レトリック・修辞技法の一覧
比喩(ひゆ)、擬態法、擬人法、倒置法、反復法、トートロジー、アクロスティック、修辞疑問、隔語句反復、体言止め、反語、呼びかけ、パラレリズム、押韻、省略法、挿入法、くびき法、緩叙法、漸層法(ぜんそうほう)、アンチテーゼ、敷衍(ふえん)、パロディ、畳語法・畳句法・畳音法、疑惑法(アポリア)、曲言法、誇張法、列挙法・列叙法、折句、撞着語法、頓降法・漸降法(ぜんこうほう)、黙説、冗語法、共感覚法、字装法、掛詞、音数律、婉曲法、逆言法、含意法、文体模写法、etc………
※ここには、すべてのレトリック(修辞技法)が列挙されているわけではありません。
ただし、代表的なレトリック(修辞技法)は、ほとんど上の表でカバーすることができるでしょう。
ちなみに、日本語におけるレトリック(修辞技法)は、約600種類以上あるとされています。
さて、もう少しレトリック(修辞技法)への理解を深めるために、最もよく用いられるレトリック(修辞技法)の一つである『比喩表現(ひゆひょうげん)』について軽く触れておこうと思います。
まず、『比喩表現(ひゆひょうげん)』とは、「~のような」という言葉を用いたりすることで物に例えて表現するというレトリック(修辞技法)の一つです。具体例を見ていくことにしましょう。
例えば「少女」という言葉に「悪魔のような」という比喩表現を用いると、「悪魔のような少女」という言葉が出来上がります。
あなたは文章中で「とある少女」を描写したかったのですが、「少女」と描くだけでは文章は味気なくなってしまいます。
そういったときは、比喩表現というレトリック(修辞技法)を用います。「悪魔のような少女」とすることで、あなたの想像している「とある少女」の像を、より鮮明に読者に伝えることが出来るというわけです。
このように、文章における表現を巧みにしようと試みる技法たちのことを、我々は「レトリック(修辞技法)」と呼んでいます。
レトリック(修辞技法)の扱い方
レトリック(修辞技法)を使いこなすためには、「文章表現力」に対する最低限の理解が必要不可欠です。
小説といった文章で表現を行う人々にとって、「文章表現力が大切だ」ということは言うまでも無いことでしょう。
しかし、「文章表現力」といっても具体的に何のことを指すのか非常に曖昧のままにされていることも珍しくありません。
「文章表現力」とは、文章によって物事を表現していく力のことを指すのですが、これだけだと理解しづらいので、ひとつ例え話をすることにしましょう。
美術館へ遊びに行ったときのことを想像してみてください。
そこには数々の絵画が展示されていて、それぞれに個性や風味を感じることができます。絵画は画力により何かを表現しているわけですが、その表現力はどこから生まれているのでしょうか?
油絵の世界には「スパッタリング技法」や「インパスト技法」といった数々の技法が存在しています。
スパッタリング技法は、水で薄めた絵の具を筆につけ、指ではじくことによって生まれる飛沫(しぶき)表現を作りだす技法。インパスト技法は、油絵特有の厚塗りによって物質的な存在感を出す技法なのですが、それは脇に置くとして。
このように、画家は「自分は存在感や迫力のある絵が描きたいから、インパスト技法を使うんだ!」とか
「煌びやかな情景を描きたいから、スパッタリング技法は外せない」といった拘りを持っているはずです。
この拘りこそが作品へ個性を生み出し、作品に価値を与えてゆく一つの要素なのではないでしょうか。
これは文章においても同様です。物事を絵で表現するにしても文章で表現するにしても、自分の好きな表現技法を知っておくことは作品自体の個性や価値につながるのです。
つまり、文章表現力とは「文章において自分の好きな表現技法を深く理解し、上手く活用していく力のこと」であると理解できます。
そして、その文章の世界における表現技法たちのことを我々は『レトリック(修辞技法)』と呼んでいるというわけです。
ただし、レトリック(修辞技法)といっても大まかな分類があります。先述の通り、レトリック(修辞技法)はあくまで文章の表現技法です。
小説に使えるレトリック(修辞技法)は、その中でも一部にすぎないので注意しておきましょう。
レトリックの分類
<小説に用いられるレトリック(修辞技法)>
具体例:比喩表現(物を例えて表現する技法)
<言葉遊びのレトリック(修辞技法)>
具体例:アクロスティック(横書き文をわざと縦読みできるように加工する技法)
<演説に用いられるレトリック(修辞技法)>
具体例:同語反復(同じ言葉を繰り返し用いることで強調する技法)
<詩歌に用いられるレトリック(修辞技法)>
具体例:枕詞(詩のリズムを整えるため、詩の先頭に修飾語をもってくる技法)
レトリック(修辞技法)を取り入れたいと思ったら、最初に注意しておきたいのが「レトリック(修辞技法)の分類」です。ここで一つ、わかりやすい例えを出すことにしましょう。
例えば、「わかりやすさ」を重視する演説にとって『同語反復(=同じ言葉を文中に何度も繰りかえる技法)』という修辞技法は有用です。
しかし、これを小説へ用いたとしたらどうでしょうか?読者が喜ぶかと言えば話は別でしょう。
むしろ、小説において同じ言葉を繰り返し用いるのは「語彙力の低さ」や「ボキャブラリーの不足」を露呈させることにもなり得ます。
これは演説とは違い、小説があくまで「わかりやすさ」だけを求めているわけではないからです。
このように、もしレトリック(修辞技法)を用いる場合は、その分類をしっかりとおさえておかないと返って逆効果になったりもします。
したがって、文章表現力を高めたいのであれば「修辞技法を沢山覚える」よりも「用途に合わせた修辞技法の使い方を理解する」方に努めることをおすすめします。
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