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魅力的なキャラクターの作り方|創作キャラの魅力と個性の出し方まとめ!

魅力的で個性溢れるキャラクターの作り方!


小説や漫画などの創作をしていると、どうしても物語の主人公や登場人物たちを『魅力的で個性溢れるキャラクター』にしてあげたいものですよね。

 

そんなクリエイターさんたちの願いに応えるべく、今回は、「キャラクターを魅力的にしてくれる設定とは、一体何なのか?」、「具体的な設定の手順は、どうすればいいのか?」といった課題を整理していこうと思います!

 

目次


> 魅力的なキャラクター設定とは?
> キャラクターの魅力は、二種類!
 1.キャラクターの「神秘性」
 2.キャラクターの「共感性」
> 神秘的なキャラを作るのは『引き算』
> 共感性の高いキャラを作るのは『没個性』
> 『神秘性』と『共感性』のジレンマ
> 『神秘性』と『共感性』の両立方法
 1.逆転設定
 2.二面性(ギャップ)
 3.カラーリング
> E.M.フォースターの”Aspects of the Novel”
> まとめ

 

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魅力的なキャラクター設定とは?


まず、魅力的なキャラクター作りをしていく前に「魅力的なキャラクター」とは、一体どんなキャラクターのことを指すのでしょうね?

 

これを抑えておかなければ、ただ単に自分が魅力的だと思うだけで、他人から見たら魅力的に感じてもらえない!なんてことにもなりかねません。

 

そこでいろいろ調べてみたところ、どうもキャラクターの魅力というものには「もう一度このキャラクターに会いたいと思わせるような魅力」と「共感しやすいという魅力」の二種類が存在しているのだそうです。

 

というわけで、ここからは具体例などを交えることによって、それぞれの魅力をどうやったら引き出ることができるのかについてお話していこうと思います!

 

キャラクターの魅力は、二種類!


先述の通り、キャラクターを魅力的にする二つの要素別に話を進めていきます。

 

1.キャラクターの「神秘性」

まずは、キャラクターの設定をターゲットである『読者』好みの見た目・性格に仕立て上げたりすることで「このキャラクターに会いたい!」と思わせるような魅力を「神秘性」と呼ぶことにしたいと思います。

 

イメージとしては、ずっと見ていたくなるアイドルや俳優、長く関わっていたいと思えるテンションの高い部活仲間、愛らしい動物といったものがあるでしょう。具体例としては「恋する小惑星」などが参考になります。

 

 

2.キャラクターの「共感性」

もうひとつは、ストーリーの中で登場するキャラクターの行動(努力など)といった人間ドラマをもって、『共感』や『悩みへの対処法』を読者に示し、キャラクターを好きになってもらうということです。

 

こちらの魅力のことは、仮に「共感性」と呼称しておきましょう。

 

読者の言いたいことを代弁してくれたり、理想やロマンを実現してくれるキャラクター。一緒に悩みを乗り越えてくれる主人公、読者の存在や、努力を肯定してくれるキャラクターなどが挙げられます。

 

例としては「ちはやふる」のちはやといったキャラクターが挙げられるでしょう。

 

 

神秘的なキャラを作るのは『引き算』


さて、それでは「神秘的」なキャラクターの作り方から見ていくことにしようと思います。

 

神秘的で魅力的なキャラクターの作り方を、端的に言うと『引き算』をすることです。

 

「いきなり、引き算の話をされても……」と思われると思うので、『引き算』の説明からしたいと思います(笑)

 

突然ですが、みなさんも人間ですから、短所や人の嫌いな部分が多少なりともありますよね。

 

しかし、そのすべて取り除いてみたらどうでしょうか? 立派な聖人君主の出来上がりです。

 

それと全く同じことをします。

 

つまり、人の魅力的な部分だけを切り取って、嫌いな部分を消すことでキャラクターを作ってしまおうという方法が、この『引き算』というキャラクターの設定方法になります。

 

具体例としては、『みなみけ』という漫画作品に登場するしっかり者の長女「春香(別名:はるかねぇさま)」などが挙げられるでしょう。

 

作中では「美人でいつも妹思いで面倒見もよく、家事の一切をやりとげて人の扱いも上手く成績も優秀」という設定で描かれているのですが、

 

この彼女の魅力がまさに、神秘的と言えるでしょう。

 

彼女の唯一の欠点である「だらし無さ」については、後述しようと思います。

 

 

共感性の高いキャラを作るのは『没個性』


一方、共感性の高いキャラクターを作る場合は、個性を無くしてしまうのが最短ルートになるでしょう。

 

これは、特に「小説においては」という話にはなるのですが、一人称小説では「主人公≒読者」または「主人公≒作者のように見える」作品も少なくありません。

 

これは所謂、ライトノベル作品といった「キャラクター性」(=個性)を、あまり重視しない一般文芸寄りの作品に多い傾向です。

 

没入感が必要になる作品において、キャラクターは尖った個性があればある程、不利になります。

 

だからこそ、主人公には強すぎる個性(特殊能力や優秀さ、ツンデレなどの属性)ではなく、リアリティの高い個性(職業や趣味、生い立ち)などが求められるようになってくるでしょう。

 

『神秘性』と『共感性』のジレンマ


『神秘性』と『共感性』の両側面を持っているキャラクターは、非常に魅力的ですが、

 

多くの場合、このキャラクターにおける「神秘性」と「共感性」は、組み合わせる際に失敗しがちです。

 

というのも、キャラクターに「神秘性」を持たせるということは、引き算によって良い面しか見せなくするので、リアリティに欠けるのに対し、

 

キャラクターに「共感性」を持たせるということは、キャラクターの心の内をリアルにさらけ出させること、すなわち、コンプレックスなどを暴露させることだからです。

 

わかりやすくするために、具体例をあげておきます。

 

例えば、読者を共感させたい場合に、絶世の美少女を主人公として作品を描いたとすると、美少女ゆえの悩みや行動に、読者は中々共感ができず困ったりしてしまいます。

 

逆に、読者にイケメンキャラを気に入ってもらいたい場合に、個性のない通行人Aの性格をはめ込まれても反応に困りますよね。

 

ですから、キャラクターを魅力的にしたいのであれば、いまキャラクターに付けたい魅力は「神秘性」なのか「共感性」なのか最初にはっきりさせておくと良いでしょう。

 

それでは、「神秘性」と「共感性」を両立させる方法は無いのでしょうか?

 

『神秘性』と『共感性』の両立方法


さて、ここまではキャラクター創作における基本として、『神秘性』と『共感性』を生み出し、魅力的なキャラクターをどうすれば、作り出すことが出来るかというお話をしてきました。

 

ただ、これだけだと「個性的なキャラクター」かつ「魅力的なキャラクター」を生み出すのは難しいの?と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

 

実は、例外的に「神秘性」と「共感性」を両立出来るケースというものがあります。

 

それは「逆転設定」と「二面性」、「カラーリング」と呼ばれる手法たちです。

 

・逆転設定

逆転設定とは、前提から真逆の世界観設定をしてしまい。没個性こそが「個性」、個性こそが「没個性」となってしまうように仕組む設定のことです。

 

具体例としては、主人公だけ無能力者である「とある魔術の禁書目録」や、主人公だけが魔法を使えない「ブラック・クローバー」といった作品たちが挙げられます。

 

現実世界から考えれば、超能力や魔法を持っていることは「強力で尖った個性」となりますが、

 

逆転設定をすれば、超能力や魔法が使えないことが「個性」となって、感情移入しやすい設定のキャラクターなのに「神秘性」を生み出すことが出来ます。

 

他にも、海賊アニメ『ワンピース』の主人公であるモンキー・D・ルフィは、十分な超人的能力を保持していますが、よくよく見てみると悪役はもっと強い設定で登場していることに気がつきます。

 

どれだけ、キャラクター(個性)が強くても、それを超える悪役(の個性)が存在すれば、相対的に個性を隠せるというわけですね。

 

ご参考:とある魔術の禁書目録を試読してみる(※掲載期間が終了している可能性もあります)

 

・二面性(ギャップ)

よくキャラクターには、二面性を持たせた方が良いと言います。

 

これは、一人の人物に対して共感しやすい部分と、神秘的な部分を上手く切り替えることが可能になるからです。

 

しかし、難易度は結構高めの技法なので、厳重に注意すべき箇所でもあります。これこそが、物語における一貫性の肝となるからです。

 

キャラクターの行動の結果が、ストーリーとなるのですから。

 

キャラクターの一貫性を崩すということは、すなわち、『プレミス』の崩壊を意味します。プレミスの重要性について未読の方は、以下の記事を参考にしてみてください。

 

「プレミス(ログライン)」とは?|小説・脚本におけるプレミスの意味と具体例

 

また、具体的な手法としては、以下のような手法があります。

 

これについては、いろんな作品に触れていると自然とザクザク沸いてくるでしょう。まさに、多種多様な技法があります。

 

キャラクターに、立体感を出す方法

  • 欠点を設定する(例:慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~、みなみけ)
  • 外見と内面にギャップをつける(例:オーバーロード、幼女戦記)
  • キャラの(Will・Can・Must)に、葛藤をつくる(例:七つの大罪 メリオダス)
  • 同情を利用する(例:鋼の錬金術師)
  • 過去の劣等感と克服された現在(例:寄宿学校のジュリエット 狛井蓮季)
  • 二人一組のペアでキャラクターを構成する(例:涼宮ハルヒの憂鬱)

 

一つ一つの解説について話す前に、これらすべてに共通して言えることは、どれも『足し算』がなされているということです。

 

物語を創作する際、もっとも簡単に作品を作り始める方法は『足し算』と言われています。

 

例えば、「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」の主人公である聖哉(せいや)というキャラは、イケメンで強力ステータスを持った状態で異世界召喚されますが「慎重すぎる」という欠点を持ち合わせています。

 

この「イケメン」や「強力ステータス」の部分が、神秘性を持ち。「慎重すぎる」という欠点が、読者のあるあるポイント(=共感するポイント)につながっているのです。

 

他の例についても、同じ事が起こっています。

 

創作ネタを溢れ出させるコツに、不釣り合いな者同士を合成した後「なぜ、この二つが引っ付いたのだろうか?」と背景を考えて、発想に至るという方法があります。

 

この手法を逆手にとって、読者に「二つの要素が結びついた理由は、こういうことが過去にあったからなのかもしれない?」と、空想を膨らませる効果が期待できるのです。

 

・カラーリング

カラーリング手法とは、文字通りキャラクターにイメージカラーを付けることによってキャラ被りを回避する方法です。ある意味で、個性の作り方に該当するでしょう。

 

ちなみに、カラーリングとは書いていますが、人間関係(家族)が登場する作品のように「父」、「母」、「兄」などのように、キャラクターにラベリングがつくものであれば、同様の効果を得ることができます。

 

具体例としては、まんがタイムきらら作品群や、戦隊モノ、アイドルモノがよく挙げられるでしょう。

 

こちらについては、以下の記事にまとめているので、このページでは割愛しようと思います。

 

キャラ被りを起こさないための最終兵器!創作におけるイメージカラー活用術とは【実例付き】





 

E.M.フォースターの”Aspects of the Novel”


さて、先述の通り、キャラクターの一貫性は『プレミス』を揺るがす程のインパクトを持っています。

 

それでは、どうすれば一貫性を崩さなくて済むのでしょうか?

 

その指針となってくれるのが、「E.M.フォスター”Aspects of the Novel”」です。

 

そもそも、キャラクターと言っても二種類に大別されることが知られています。ひとつは、平面的人物。もう一つは、立体的人物と呼ばれるものです。

 

これについては、以下の引用が参考になるでしょう。

 

フラットキャラクター(平面的なキャラクター)とは、フォースターによれば、類型的に描写されていて、しばしばカリカチュア的に描かれ、常にといっていいほど同じように行動し、同じようにしゃべる、というキャラクターです。これに対し、ラウンドキャラクター(立体的なキャラクター)とは、性格がある程度複雑で、ストーリーの進行に従って変化していき(多くは成長していき)、そのストーリーの中心を成すような人物(つまりは主人公)のことを言います。

引用元:https://shochian2.com/archives/33668

 

簡単に言えば、サザエさんのように平面的でいつも変わらず、同じ行動、同じ思考を持ち続けているキャラクターのことを「平面的人物」と呼びます。

 

先述の魅力の種類で言えば、「神秘性」と「共感性」のどちらかしか持っていない状態ですね。

 

そもそも、設定からして一面しか無いので一貫性が崩れることは、まず無いでしょう。

 

問題は、立体的人物です。立体的人物とは、行動や思考がストーリーを追っていくことによって変化していくキャラクターのことです。基本的には、「神秘性」と「共感性」を両方持ち合わせていることが多いです。

 

立体的人物が思考を変化させる場合。そこには、それ相応の根拠が必要とされます。つまり、十全な説明を要することに成るのです。

 

しかし、元々説明することが多い、SFや純ファンタジー、キャラクターが大量発生しているストーリーでは、説明が追いつきません。

 

プレミスが「誰々が何々を達成する物語」のような形をしているストーリー重視型の場合は、説明しないといけない設定の量が元々多いので、超長編でない限り平面的人物の方が扱いやすくなるでしょう。

 

ただし、ツンデレといった分かりやすい属性は、比喩表現の一種「アレゴリー(諷喩)」と呼ばれ、これを上手く使えばキャラ説明をうまく回避できます。

 

一方、説明するものが少ない作品においては、十全な説明を出すことが出来るので「立体的人物」を適切に扱うことが出来るようになるでしょう。

 

※設定の量が比較的少ない作品は、テーマ重視型のプレミス(「正義とは何か?」「愛とは何か?」といったプレミスたち)に多いです。

 

いずれにしても、作品における設定のキャパシティを超えないように、キャラクターとストーリーの間で調整を行うのも、一つの手でしょうね。

 

また、作中で扱える設定のキャパシティという意味では、文章に『ミメーシス』傾向が強い(=婉曲表現が多い)と、地の文に叙述パート(=説明文)が少なくなるので、それに応じて、キャパも少なくなります。逆も同様です。

 

『ミメーシス』について理解すると、何を言っているのか、よく理解できるようになると思います。

 

▼ 『ミメーシス』とは?

ミメーシス&ディエゲーシスの意味を簡単に例で解説!|イデア論から学ぶ芸術・文学理論とは?





 

まとめ


まとめです。キャラクターに魅力を作り出したいのであれば、「神秘性」と「共感性」のどちら、または「両方」を設定したいのかをハッキリさせた後、

 

「神秘性」なら、『引き算』を。「共感性」なら、『没個性化』を。「両立」なら「逆転設定」と「二面性」、「カラーリング」を活用すると良いでしょう。

 

ただし、これだけではキャラクターに血が通っていない「設定だけ」の人形状態になってしまうので、「キャラ設定シート」が出来た後は、キャラクターを色んなシチュエーションにおいてみて、どんな反応をするか観察することで掘り下げていくと良いでしょう。※これを「リトマス法」と呼ぶそうです。

 

また、慣れてきて『キャラの魅力に関する説明』と『プレミスが必要とする設定の説明』の総量を、『文体のミメーシス度合い』で消化しきれるか事前に考えれるようになれば、立派なプロの仲間入りですねw

 

次のページからは、実際にいまからキャラクター設定を一緒に即興で創っていくことにしましょう!

 





 

▼ キャラクターを実際に作ってみよう!

オリキャラの作り方!~いまから5分でオリジナルキャラクター設定を創作するコツ~

 

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