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文章表現技法録|小説に使える珍しくて面白い表現技法&文章術まとめ!

小説に使える珍しくて面白い表現技法&文章術まとめ!


みなさん、こんばんは。当サイト『作家の味方』の管理人らぴと申します。

 

文章術や表現技法といえば、はっきりいってセンスや才能の世界なのではないか?と思われる方も、多いのではないかと思います。

 

たしかに、太りやすいかどうかと似たようなもので、勉強なんかせずともスラスラと、うまい文章が書ける方も中にはいらっしゃるでしょう。

 

しかし、人間というものは常に同一人物で有り続けられるとも限らないものです。年齢が上がって新陳代謝が落ちれば太りやすくなることも、運動量の多い職場に環境を変えたがために太りにくくなることだってあります。

 

ある日、なにかをきっかけとして今のいままで普通にできていたことが、突然できなくなる。そんなことは、よくある話なのです。

 

であればこそ「文章がうまく書けていない」と、いま感じている人の悩みを解決するだけでなく、もう一度筆を動かしてみたくなるような、面白い表現技法の数々をご紹介していくことにしたいと思います!





 

文章表現技法録

1.奇先法(きせんほう)

一言目に、「えっ?」と読者を驚かせるような不可解な言葉を与えることで、読者の気を引きつける表現技法のことです。その後、冒頭一文につながるような文章の流れをつくり不可解さを自然な流れに戻すように、書いていきましょう。

具体例:その日、僕は自動販売機に恋をしたーー。〈中略〉発明家であった彼女の生涯は、きっと自動販売機という形を通して、こうして僕たちを来年も再来年も、見守り続けてくれているのだろう。

 

2.懸延法(けんえんほう)

「懸延(けんえん)」すなわち、大切な事実をあえて飛ばした後、最後に飛ばしていた事実を付け加えることによって、反響を大きくしようと試みる表現技法のことです。

具体例:「小鳥遊くん。ジェットコースター乗ってみようよ!」「わかった。優香さんの乗りたいものでいいよ」「じゃあ、こっちがいいな!」〈中略 – 搭乗後〉「そういえば僕、高所恐怖症なんだ」そういって彼は、降下音と共に気絶した。

 

3.漸層法(ぜんそうほう)

英訳すればClimax(クライマックス)と呼ばれる技法であり、ステップごとに規模感を拡大し、読者の情動を盛り立てようと試みる表現技法のことです。文章のリズムのためかホップ・ステップ・ジャンプの3段階で描かれることが多いようです。

具体例:いまこそ、我々の非力な声を上げるときだ。通りすがる人々に呼びかけ、社会や民意を巻きこみ、我々国民一人一人が、この国を変えてみせるのだ!

 

※「呼びかけ」→「巻き込み」→「変革」といった感じで、例では政治への干渉度を漸層法によって引き上げるような書きぶりになっています。

 

4.接叙法(せつじょほう)

接叙法とは、接続詞を多用することによって、とめどなく流れるような論理的な思考リズムを作り出す表現技法のことです。一般的に接続詞の多用は文同士の関係性の誤った接続を行うことが多いため厳禁とされていますが、うまく書く前提なら話は別だったりします。

具体例:仮に、犯人が本当に被害者を愛していたとしたらどうだろうか?いやしかし、それはおかしい。なぜなら、愛していた人の亡骸をどうして湖に沈めることができようか。だとすれば、犯人は証拠を偽造しようとして、そのようにみせかけている可能性も否めまい。そこから考えられることは……〈略〉

 

5.断法(だんじょほう)

断叙法(だんじょほう)とは、接叙法と対照的に感情的な文章にしようと接続詞をあえて削りとる表現技法のことです。接続詞が必要かどうかは、その記述が論理的主張なのか、感情的主張なのかに依存していると言われています。

具体例:つらかった。苦しかった。暗い部屋でただ一人。寂しくて、惨めで、息苦しくて、ただひたすらに誰かに助けて欲しかった。

 

.点描法(てんびょうほう)

ある事物のことを面で描くのではなく、いくつかの特徴的なポイントだけを列挙することで述べる表現技法。異形の怪物などを描く際には、便利だったりします。

具体例:ドアを開ける。そこには長い耳と真紅の瞳を持つ少女が、したり顔で仁王立ちしていた。

 

.場面カット

文字通り、場面をカットしてしまう文章表現技法のことです。

具体例:「君は、自分が死んでも。それでも。良いというのか?」〈場面カット〉あれから時計の針は何度まわったのだろう。結局、僕は彼女に何もしてあげられなかった。〈中略〉ーーそうか。きっとあいつもこんな気分だったのかもしれないな。だったら僕だって、最後くらい笑ってやるさ。君がそうしていたように。

 

漫画やアニメと異なり、小説の場合は「告白シーン」や「後悔するシーン」といった非常に感情的な場面をセリフや地の文で描写しようとすると、どうしても臭みがでてしまいがちです。

 

そんなときには、意外にも起こった出来事の結果だけを読者に伝えることにとどめ、場面そのものを敢えてカットすることによって、読者の妄想力・想像力に期待するという考え方が大切になってきたりします。

 

書きたいけど書けないシーンがもしあるのだとすれば、その場面の前後を緻密に描き、当の重要なシーンは割愛した形跡だけ残してしまうと書きやすくなるかもしれません。

 

.疑惑法(ぎわくほう)

疑惑法とは、表現を選ぶのに迷ったり、ためらったりする表現技法のことです。別名でアポリアとも呼ばれています。

具体例:これはきっと恋ではない、愛でもない、敬意でもない。その感情を表す言葉を、私は今も昔も持ち合わせていなかった。

 

.主辞内顕(しゅじないけん)

主語が明らかである状況で、文章中からあえて主語の部分をすべて省略する表現技法のことです。主語を書かないことによって、主人公の存在感を希薄化し、読者自身が没入しやすい環境を作り上げる効果があるそうです。

具体例:(僕が)辞職を上司に伝えると、反応はとても意外なものだった。(僕は)反対されるか、引き止められるか、そのどちらかしか、口からでてこないものだろうと高をくくっていた。(僕は)答弁の準備すらしていた。でも、それが役に立つことはなかった。

 

10.警句法(けいくほう)

警句法(別名:アフォリズム)とは、鋭く真理をついた短文を用いた表現技法のことです。

具体例:発想というものは、一つの事柄のルーツを辿ることにより、境界を超えた視野を得る能力のことである。

 

※具体例では「発想」という言葉について真理を見出そうとしています。例えば、冷蔵庫が誕生した秘話(ルーツ)を調べていくと、根本的にその時代の人々が何を必要としていたかということが理解できるようになるでしょう。

 

そして、その民衆の欲望を叶えている他の発明との隠された繋がりが次第に見えるようになり、現代においてまだ発明されていない空白の部分を特定することができるようになる。

 

それこそが、「発想」という一連の流れを端的に示しているのではないか、と考察している文になっているわけですね。

 

11.頓絶法(とんぜつほう)

途中で発言を停止する文章表現技法のことです。主に発言者が悲惨な状況を察した場面などにおいて、ダッシュ記号や三点リーダーを用いて文を切ることがあります。

具体例:「親っていう存在はな。子供の幸せを一番に考えていたいんだ。おまえはきっと立派にこなせる。だから、安心して試験に望んできなさい」「だからって、もし父さんの手術が失敗したらーー」

 

まとめ


さて、今回はさくっと11個ほど面白い表現技法をご紹介していきましたが、日本語にはまだまだ数百種類の修辞技法(レトリック)と呼ばれるものが存在しています。

 

興味がある方には、中村 明 氏の「文章を彩る表現技法の辞典」をおすすめしておきます。個人的に、修辞技法を教えている本の中で、一番読みやすく具体例が豊富だった印象です。

 


 


また、文章術をより本格的に学びたいのであれば、読み応えはありますが古代ギリシア哲学者アリストテレスの「弁論術(修辞学)」を読むことを強くおすすめしておきます。

 

なぜなら、ほとんどの文章術に関する本はこの古典を元にしているか、そこから派生した論文を元に作られていることが多いからです。また、多くを学ぶ必要はありません。

 


 

重要なポイントだけを集中的に抑えておくだけで、文章力は飛躍的に向上してくれることでしょう!

 

というわけで、ご精読ありがとうございました!

 

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