起承転結(きしょうてんけつ)
『起承転結(きしょうてんけつ)』とは、物語によって、物事を伝えるフレームワークの一種のことです。
主に、物語で伝えたいことを「作者自身が整理する場合」、
「想定読者が各場面において、どのような反応をみせるか、事前に客観視しておきたい場合」に用いられるツールです。
目次
▼ 物語における起承転結とは?
> 『起』『承』『転』『結』の意味
> 起承転結の具体例
> 起承転結のチェック・ポイント
> 作者からみた起承転結
・作者からみたチェック・ポイント!
> 読者からみた起承転結
・読者が期待する各場面の役割とは?
起承転結の『起』とは?
> 起承転結の『起』
・ホールパート法とは?
> 人は、先に全体像を把握したがる
>「まずは、結論から」の真意
1.『起』で示す結論は、言葉にできない論点
2.「結論=結末」なら物語にする必要なし
起承転結の『承』とは?
> 起承転結の『承』とは?
>『承』を面白くするのは、圧倒的な情報量
・『承』で何を書くか迷ったら?
・『承』で書いておくべきこと
> 「可能性」が、読者をつなぎ留める
・可能性は、情報量を爆増させる
・『承』の構成で、万人受けか決まる!
・聞き手に疑問を生み出させる
・情報量が多い程、人は魅了される
・『承』のウエイトは重め!
起承転結の『転』とは?
> 起承転結の『転』とは?
・面白さとは『落差』のこと
・伏線は『落差』を支える
起承転結の『結』とは?
> 起承転結の『結』とは?
・『結』は、誰が決めるものか?
・キャラクターに描かせる『結末』の魅力
> セオリー破りも芸術である
> まとめ
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◆ 『起』『承』『転』『結』の意味 ◆
- 起:前提知識 ←小説本文には無い、あらすじ&設定の部分
- 承:物語の始まり ←『起』をゆっくり説明する部分
- 転:物語の流れが変わる ←『結』と『承』を結びつける部分
- 結:物語が結末を迎える ← 伝えたいものを描写する部分
『起』『承』『転』『結』それぞれの意味は、上記の通りになります。
よく『起』と『承』の違いがわからないという話になるのですが、『起』は物語に入る前の設定だと思ってください。
実際に小説を描き出そうとすると、『承』から物語は始まります。
もう少しわかりやすくするために、具体例を見ていくことにしましょう!『ネト充のススメ』という漫画を例として、あげさせていただくことにしたいと思います。
少し長いので、ある程度「起承転結」の意味がわかっている方は、飛ばし読みしても良いでしょう。
◆ 起承転結の具体例 ◆
- 起 - 主人公である盛岡森子は、仕事で心に傷を負い辞めることになります。そして退職をきっかけに、今まで蓄えてきた貯金がなくなるその日まで、オンラインゲームに漬かりきることを決意しました。
- 承 - アバターを目一杯イケメンにしてみたり、ゲームの中で子供のようにはしゃいでいると、「リリィ」というキャラとの出会いを皮切りに、仲間が増えてゆくことになります。そして、いつしか「リリィ」との間に、友情にも似た、愛情のようなものが芽生えていきました。
- 転 - 実はゲームとリアルの両方で面識があった主人公と「リリィ」。お互い気付かずに、空振りを続けていた生活には、終止符が打たれることになります。
- 結 - 最後は、「リリィ」の正体が男性であったことを知り、お互い真っ直ぐな気持ちで付き合うことになり、ハッピーエンドです。
起承転結のチェック・ポイント
先述の通り、起承転結というのは物語をつくる上で、以下の二点を整理するものでした。
これを踏まえて、役割別に起承転結のチェック・ポイントを把握していくことにしましょう!
作者からみた起承転結
以下は、作家視点で『起承転結』それぞれの理想的な役割を整理してみたものです。
もし『起承転結』を決めたとすれば、まずはココが「チェックしたい重要ポイント」になります。
上記の通りになっているか、確認するだけです。具体的に噛み砕くと、以下の問いに応えることができれば、問題ないでしょう。
・作者からみたチェック・ポイント!
実は、以下の記事でも述べているのですが、
物語における4大設定「世界観設定・キャラクター設定・プロット&シナリオの構成・コンセプトの設定」というは、上記の問でみると綺麗に「起承転結」へ当てはめられるんですよね。
▼ 物語における4大設定とは?
さて、ここまでは物語の作り手の意図が、しっかりと反映されているかをチェックするポイントでした。
続いては、伝えられる側、すなわち読者から求められているポイントもチェックしておきましょう!
読者からみた起承転結
「作者からみた起承転結の役割」と「読者からみた起承転結の役割」というのは、似ているように見えますが、実は、微妙にズレています。
この絶妙なズレが、読者にとってはミソとなります。
・読者が期待する各場面の役割
例えば、『起』において作者目線であれば「そこそこ魅力的な世界観なら良いだろう」と思いがちですが、
読者からすると数多の物語の中から、その作品を読むに足るインパクトが必要になってきます。
また、『承』では没入感や共感できるシーンを増やせばいいと考えがちですが、読者が求めているのは安心。
すなわち、テンポよく読者の欲求を満たしてくれるかどうかにあります。
さらに、『転』では単に想定外な展開にするのではなく、
読者が納得できる爽快感や納得感を創り出すことが大切になります。
最後に、『結』では作者が伝えたいテーマを伝達した上で、
あえて、スッキリさせない余韻を残すことが次回作を買う決め手になるというわけですね。
このように、作り手と読み手には、同じものを見ていても微妙に受け取り方に違いが出るので、注意しておきたいところです。
さて、続いては『起』『承』『転』『結』それぞれを更に深堀りして、どうすれば上手く使いこなすことが出来るかを解説していこうと思います。
起承転結の『起』
起承転結の『起』とは、読者や作者、プレゼンターが、物語に興味を持つキッカケのことです。
起承転結の『起』の役割を知るのに最も手っ取り早いのは、「ホールパート法」を理解することでしょう。
・ホールパート法とは?
プレゼンで聴衆に、物事をうまく伝えようとするフレームワークの一つに、「ホールパート法」と呼ばれるものがあります。
これは何かというと、まずは話の全体像(whole)から話して、細部(part)の話へと徐々に移っていき、
最後にもう一度、全体(whole)を述べて話を締めくくることで、相手に話の中身が伝わりやすくなるという手法です。
人は、先に全体像を把握したがる
私たちは、何か本やインターネットで調べ物をするとき、無意識に「目次」から見ませんか?
「目次」を見ることで、この本や記事を読むのには、どれくらいの時間がかかりそうか。
どれくらい集中力を要すだろうか。面白いことがきちんと書いてありそうか。自分に理解できる難易度だろうか。
といった部分を、無意識にチェックしているんです。
小説も同じです。誰だって「自分が興味のある話か否か」が一番気になりますよね。
まずは、小説自体に読む価値があることを示す部分が、ホールパート法における全体(whole)の部分です。
読者は「あらすじ」や「本の帯」を読むことで、この本は今の自分が読みたい本かどうかを判断するのです。
物語においては、これを『プレミス(ログラインとも)』と言います。プレミスの意味や作り方については、以下の記事を参考にしてみてください。
要するに、この部分で読者は「この物語は、どんな内容を提供してくれるんだろうか?」とか、「自分向けの内容なのだろうか?」というところを判断していくことになるのです。
そして、この部分では小説を未だ読み始めてすらいないわけですから、キャラの魅力やストーリーの魅力は、あまり判断材料になりません。
そこで必要になるのが、二つの項目です。それは「ジャンル」と「世界観」です。
この二つは、読まなくても表紙や柄、タイトル、あらすじ等から、すぐにわかるところが最大の強みです。
このため、ジャンルによって、購買意欲にとてもバラツキがあります。最近で言えば、異世界モノであるかどうかで買うことを決める人も出てくるでしょう。
ちなみに、隠れてもう一つ読む前に作品の魅力がわかる項目があります。
それは「著者名」なのですが、これは既に大成功を収めているような人だと思うので、この記事では一先ず取り扱わないことにしたいと思います。
「まずは、結論から」の真意
まれに、起承転結の『まずは、結論から』という一側面を見て、
物語に適用しようとすると話の結末がわかってしまうから、「ネタバレになって面白みがないじゃないか!」という意見も挙げられることがあるのですが。
それは、シンプルに伝えるものが間違っているか、伝えたいものを『物語』にする必要性が無いからです。
もう少し、丁寧にみていくことにしましょう!
1.『起』で示す結論とは、言葉にできない論点のこと
起承転結における『起』であり、ホールパート法における『全体像・結論』というのは、
『結末』のことではなく『論点』のことです。
すなわち、「勇者が魔王を倒す」というような結果ではなく、「勇者は、魔王を倒すべきか?」といった疑問形であることが多いのです。
ここで、「僕のヒーローアカデミア(以下、ヒロアカと呼称)」という漫画が良い例になってくれるでしょう。
見ていない方のためにも、配慮して説明すると、
超能力のような「個性」と呼ばれる能力を持っているのが当たり前の世界で、無個性(=超能力使えない人)として生まれた主人公「緑谷出久(みどりや いずく)」が、
最強のヒーローとされる「オールマイト」に、「個性がなくても、ヒーローはできますか?」と問いかけをするところから物語は、始まります。
この「個性がなくても、ヒーローはできますか?」という問いかけこそが、『論点』の頭出しであり起承転結の『起』です。
これに対して、『結末』というのは「誰々が、こういう過程を経てこうなった」という結果のことを指します。
作者である堀越先生は、ヒーローのかっこよさは「戦闘じゃなくて人を救うことにある」と語っていたそうです。
つまり、本質的に捉えると「ヒーローとは何か?」というところが、この作品の本当の『論点』だったのかもしれません。
その難題を解く上で、必要な論点の一つに「個性がなくても、ヒーローはできますか?」という問いかけがあったということなのでしょう。
2.「結論=結末」なら物語にする必要はない
そもそも論で、人はなぜエピソードで物を語るのでしょうか?
それは、「端的に言っても、理解されないから」でしょう。
物語には「感情移入させる力」や「理解を助ける力」があります。
つまり、疑似体験ではありますが、読者に身を持って体験としての知見を共有させることができるのです。
もし感情移入させなくても理解できる内容なのであれば、そもそも物語として語るメリットがあるとは言いづらいでしょう。
やらされ仕事のプレゼンが面白くないのは、物語で伝える必要性がないものを物語にしているからです。
最初から結末がわかっている小説や漫画を読むのは、誰にとっても退屈というわけですね。
先述の『ネト充のススメ』の起承転結にある『起』にも、
しっかりと「はたして、彼女の今後はどうなってしまうのか?」といった論点を抱えていることが確認できるでしょう。
ちなみに、この疑問たちのことを小説や脚本の世界では「セントラル・クエスチョン」と呼んでいます。
セントラル・クエスチョンの最もシンプルな作り方を、『エクストラポレーション(外注法)』と呼ぶこともあります。
これは「もし、海が赤だったら?」とか、「もし、学校がなかったら?」といった、「もし〇〇だったら?」という形のセントラル・クエスチョン生成法です。
SF(サイエンス・フィクション)においては、よく使われることがあるので参考になるかもしれませんね。
起承転結の『承』とは?
起承転結における『承』とは、情報を出来る限り詰め込んで、読者の想像を膨らませるパートです。
ロマンを魅せるパートとも解釈されます。ちなみに、ロマンの日本語訳は「小説」だったりします。
まさに、起承転結の『承』こそが、ロマンであり、小説そのものなのです。
物語が面白いかどうかは、ここにかかっていると言っても過言ではないでしょう。
『承』を面白くするのは、圧倒的な情報量
起承転結のうちでも、最も何を書けばいいのか良くわからないとされるのが『承』のパートでしょうね。
しかし、シンプルに考えて大丈夫です。
練り込まれた舞台の美麗な景色、ロマン&躍動感のある展開、魅力的なキャラクター、喜怒哀楽を感じさせる奇跡的な瞬間たち。
それら全ての情報を、とにかく詰め込むと良いでしょう。
・『承』で何を書くか迷ったら?
起承転結の『承』で何を書けば良いかわからない場合は、マレーの欲求リストが参考になると思います。
起承転結で最も何を書けばいいか迷いがちな、『承』ですが、マレーの欲求リストを使うと非常に面白くなりますよ!https://t.co/ZVq8M4tULo
— 管理人🍁らぴ【作家の味方】 (@kazakiribana2) December 27, 2019
「マレーの欲求リスト」とは、心理学者であるヘンリー・マレー氏が考案した、人間の持つあらゆる欲求をリスト化したものです。
このリストを満たす形で描写を考えてあげると、書きたいことがポンポンと出てくるようになります。
それでは実際に、私が小説で『承』を書く際に、意識している描写リストを挙げてみると、こんな感じです↓
『承』パートで使える描写リスト
飯テロ描写、泣ける描写、美麗な情景描写、うんちく、かっこいい&かわいさを感じる瞬間の描写、謎解き要素、読者への問いかけ、ギャグパート、獣もふもふパート、頭脳戦&知能戦、人間模様、人の温もり、達成、マッチカット、伏線配置、叙述トリック、読者を承認する描写、キャラクターが楽しんでいる姿、ほんわかする雰囲気、恥ずかしいエピソード、ドキッとさせる描写、報いの描写、着実に進んでいるように見せる描写、喜ばせる描写、サクサク進む描写、色っぽい描写、表情の動き…(e.t.c.)
また、これら一つ一つの要素について、もう一段階掘り下げていくと見える景色が変わってきます。
例えば、「キャラクターの表情描写」を少しだけ掘り下げてあげてみることにしましょう。
キャラクターの表情を創り込むためには、キャラクターの感情を知ることが近道です。そのため、今回は以下のようなツールをご紹介しておきます。
「プルチックの感情輪」
キャラクターの表情を創り込むために、使えそう。 pic.twitter.com/SkPM9L6nsh
— 管理人🍁らぴ【作家の味方】 (@kazakiribana2) December 27, 2019
これは「プルチックの感情輪」という人間の感情をリストアップした後、対局にある感情同士が円の反対側に来るように配置していった図になっています。
キャラクターが最初は、悲痛な叫びを挙げている場面から物語が始まる場合、対局にある安らぎ・喜び・夢中になっている姿を物語の終盤で描くことが出来れば、綺麗にまとまります。
このように、表情一つを少し掘り下げただけで視野は一気に広がりを見せてくれるのです。
ただし、これだけでは「綺麗だなぁ、とは思うけど、なんか続きは気にならない」ということが起こりえます。
・『承』で書いておくべきこと
起承転結の『承』は、読者をあらゆる要素で楽しませる部分でもありますが、『転』に対する備えという位置づけでもあります。
そのためには、「伏線」を配置して『転』をご都合主義やキャラぶれと思わせない必要があるのですが、実はその前にやらなければならないことがあります。
それは、「次の展開への可能性を示すこと」です。
「可能性」が、読者をつなぎ留める
小説を読んだり、映画を見ていると「この先の展開は、どうなってしまうんだろう?」と、感じることはありませんか?
私たちは、この「次の展開」が気になるからこそ、続きを読んだり、観たりしますよね?
そして、そう思わせるために必要なものが、次の展開の「選択肢(可能性)」です。
もし、物語の第一話最後、主人公がビルから飛び降りるところで、エンディングが流れたとすれば、
読者は「主人公は、誰かに助けてもらうのだろうか?」とか、「そのまま死んでしまうのだろうか?」といった複数の展開を想像することができます。
このように、次の展開の可能性を読者や聴衆に想像させることが大切なのです。
・可能性は、情報量を爆増させる
物語における次の展開「選択肢」は、物語が進むにつれて無尽蔵に増えていきます。
ミステリーを例にあげてみるとわかりやすいです。最初は、Aさんが怪しいという情報が出てきたけれど、どうもBさんも怪しい、Cさんも怪しいではないか!と、
情報が増えていくことによって、誰がどんなトリックを仕掛けて事件を起こしたかという可能性(展開の選択肢)を、作者が伝えなくとも、読者側で勝手に考えて増やしていくことになるというわけです。
実は、このように情報量を頭の中で飽和状態(100%)にできるところが、『承』の持つ最大の武器です。
これによって、凄く頭が冴えている方にも、とても頭が弱い方にも、与える情報の量を平等に100%へ調整することができます。すなわち、ある程度万人受けさせることができるようになるのです。
これは、後述する「間」と関係して、とても大切なお話になっていきます。
・『承』の構成で、万人受けか決まる!
有名な話に教えるのが上手い教師と、そうでない教師の差は「間」で決まると言われることがあります。
とてつもないスピードでガンガン教えてくる教師が居たとしたら、ついていくのだけで疲弊してしまいますよね?
プレゼンをするときも、一番下のレベルに合わせて解説しようという話はよく聞きます。
つまり、少なくとも早すぎるよりは、遅い方がマシなのです。
物語における、もろもろの設定を伝えるの際にも、同様の効果が出てきます。
しかし、これでは賢い人からすれば非常に退屈な講義になってしまいます。
これを回避する手段の一つが、聞き手に疑問を生み出させることです。
・聞き手に疑問を生み出させる
さて、先述の通り「間」が無ければ、誰しも理解するのは難しいですし、
逆に、「間」を入れすぎても、賢い読者や聴衆にとっては、つまらなくなってしまいます。
それを打開させる方法は、勝手に読者自身・聴衆自身に疑問を抱かせる設計にしておくことです。
そうすることで、賢い聴衆は自問自答によって無尽蔵に情報量、もとい妄想を膨らませることができますし、
理解が遅い人からしてみても「間」があるので、とりあえず最低限の話を理解できるようになります。
物語が比較的だれでも楽しめるのは、受け取った設定を読み手側で自由に調整できるように施されているからです。
この読者自身・聴衆自身に疑問を抱かせる設計こそが、先述しておいた「可能性」の配置なのです。
人がゲームで課金ガチャをするとき、アレが出ればいいなぁとか、これが欲しい!とか想像を膨らませるのによくにています(笑)
要するに、これがロマンなわけですね。
・情報量が多い程、人は魅了される
なんだか難しい話になってきたように感じるかもしれませんが、
以下の画像を見てみると、情報量がもたらす魅力を一瞬で理解出来るようになると思います(笑)
・天地魔闘の構えをする女子中学生と逃げる犬と追いかけようとして転ぶ少年と田んぼに落ちるトラクター
引用元:情報量の多い画像写真まとめ
「情報量が多い」とは、こういうことです(笑)
なんか、「どうしてこうなった!?」と疑問や憶測が膨らみませんか?
これこそが、情報量による魅力です。
同様の理由で「音楽のサビ」にも、アニメで「ぬるぬる動く激動の場面カット」にも、私たちは魅力を感じているのではないだろうか?ということです。
音楽に含まれる情報量は非常に多い
音の高低、長さ、休符、リズム、フレーズの流れ、強弱、音色などの情報が、
録音されている楽器や声が発している音の数だけ含まれている。さらに、歌モノならば、言語情報もあります。
実際、音楽ソフトなどで、1曲のデータをすべて可視化すると、
その情報量の多さに圧倒されます。
「化物語」や「エヴァンゲリオン」といった大ヒット作品が、人気になった要因としても「情報量」が取りだたされることは少なくありません。
ちなみに、この情報量に関する概念のことを専門用語では「情報エントロピー(選択情報量)」と呼ばれていたりします。
・『承』のウエイトは重め!
また、起承転結というとあたかも4等分されているように思われがちですが、尺の長さとしては、1:4:4:1と言われているそうです。
これについては、1:7:1:1と言及している作家さんもいましたし、諸説あるのだと思いますが大事なのは、必ずしも4等分ではないということです。
というより、むしろ起承転結における『承』の割合は、かなり高い方が良いのです。
これは何故かというと、同じ展開を繰り返してやることによって、「間」ができるので伝わりやすくなるのです。
「あらしのよるに」という童話で有名な作家さんである木村裕一先生は、著書の中で「起・承・承・承・転・結」が良いと述べていらっしゃいました。
よくよく考えてみると、桃太郎もイヌ・サル・キジと同じ流れを繰り返していますし、王道系の作品でも「強敵を倒したら、また次の強敵が!」なんて展開は、よくありますよね。
よくあるということは、何かしらのからくりがあると考えたほうが自然です。
UFOキャッチャーに似てますよね。少しづつ動いて、「あっ、もう少しなのに!」っていうのを何度か経て、景品を見事GET!という流れです。
人間というものは繰り返し説明されたほうが納得しやすいし、徐々に変化していく場合は、次が気になるのです。
起承転結の『転』とは?
起承転結における『転』の役割は、『承』で膨らませた情報量(=展開の可能性)を一方向に収束させることです。
ある意味で、あらゆる可能性に対する「答え合わせ」のようなものでしょうね。ここが、物語における「面白さ」になります。
そして、『転』で面白さを出すために、最も重要なのは『落差』です。
・面白さとは『落差』のこと
そもそも、面白いお話とは何なんでしょう?
今回は、コメディの作り方を参考にしてみたのですが、コメディで大切なのは『緊張の緩和』と言われているようです。
めちゃめちゃ真面目な講義中(=緊張している時)に、教授がおなら(=弛緩↔緊張の対義語)をして、赤面したとすれば、クスッと来ませんか?(笑)
音楽でも、サビに入るまでは比較的静かに進んでいって、一気に盛り上がって感動しますよね。
スポーツで逆転劇を見せる時だって同じようなものです。
このように、読者が想像していた展開に対して『落差』のある展開を用意するのが、『転』の役割であり。
物語を通してでなければ味わうことの出来ない、≪ 想像を超える瞬間 ≫ です。
・伏線は『落差』を支える
さて、ここで一つ問題が生じます。
起承転結の『承』パートで創っていた、大量の「読者が想定していた可能性」の消化です。
例えば、ミステリー作品であれば、読者は『承』のパートで「こいつが犯人に違いない!」とか、「こいつがこういうトリックを使ったのでは?」と考えています。
しかし、『転』のパートでは、これらの可能性を1つ以外全て潰すことになるのです。
この時に、読者が消化不良を起こすと。ご都合主義やキャラぶれと言われることになるでしょう。
このときに、読者をなんとか納得させるために用意するべき代物のことを『伏線』と呼んでいます。
起承転結の『結』とは?
起承転結における『結』とは、伏線を回収し、読者に余韻を残すパートです。
起承転結の『転』というのは、読者からすれば、ほとんど一瞬の出来事になります。
そのため、伏線を回収する(=転が起きた原因を解説していく)必要があります。
事件モノであれば、犯人が使ったトリックの種明かしパートといったところでしょうか。
『結』は、誰が決めるものか?
ところで、起承転結の『結』とは、一体誰が決めるものだと思いますか?
書いているのは作者なんだから、作者に決まっているだろう、といわれるかもしれませんね(笑)
それも正解でしょう。
ただ、物語の結末というのは『あなたの描いたキャラクターたち』によって決められることもありますし、事実上『編集部』に決められることも出てくるでしょう。
『読者自身』に決めてもらうという選択肢もあります(これをクリフハンガー・エンディングといいます)。
それだけではありません。今後は、AIによって最適な結末を導き出される可能性だってあるのです。
ここは、好みで良いでしょう。ただ、本や言葉というものは思っているよりも、随分と多くの人々に大きな影響を与えていきます。うまくなれば、なるほどです。
物書きとして、文筆を嗜む者として、物語は必ずしも作者だけが決めるものではないという視点は、とても大切になるのではないかと思います。
キャラクターに描かせる『結末』の魅力
物語、特に長編小説を書いていくということは、並の努力では達成できないことでしょう。
だからこそ、物語の結末には拘る方が多いのだと思います。自分の「好き」を目一杯に詰め込んだ作品だと、どうにも結末が描けない事が多いです。
これは、心理的なハードルが上がってしまっているからです。ごく自然な現象だと言えるでしょう。
そういう方にオススメしたいのは、キャラクターに結末を作らせる方法です。
そうすることで、「うまく書かないと!」ではなく、「きっと、コイツならこうするだろうな」という何かが見えてくるはずです。
それを書けば終了するだけの「お話」なのです。
一般論的な起承転結の意味(補足)
また、起承転結の元々の意味は、wikipediaによると、以下のように説明されています。
起承転結
起承転結(きしょうてんけつ)とは、4行から成る漢詩(近体詩)の絶句の構成を指す。1行目から順に起句、承句、転句、結句と呼ぶ[1][2]。もとの中国語(漢文)では、起承轉合 (現代中国語: 起承转合, ピン音: qǐ chéng zhuǎn hé) である[3]。
日本においては、本来の意味から転じて、文章やストーリーを4つに分けた構成、そのときの各部のたんなる呼称、また要素の比喩としても使われる。
起承転結による文章は論理的ではないと指摘されている[4][5][6][7][8](節「批判」を参照)。
文章やストーリーの大きな構成としての起承転結は、国際的には一般的ではない。国際的には、英語の一般的な文章向けではパラグラフ・ライティング (主張→根拠→主張’ )[9][10][11]の形があり、学術論文ではIMRAD[12]、および映画などの脚本では三幕構成[13][14][15]が主に用いられている (節「比較」を参照)。
このように、元々『起承転結』とは、物語におけるフレームワークではなく。詩歌のフレームワークを物語や、ビジネスに転用したものです。
そのため、ビジネスに使うにしても物語る場面でしか、使えません。
ただし、こういったセオリーは「使えないから、使わない」のではなく、「使えるように、変えてやる」くらい気持ちを持った方が良いのです。
セオリー破りも芸術である
正直なところ、起承転結と相性が悪い小説もたくさんあります。
セオリーとは、「帰納」と「演繹」という概念によって構築されています。簡単に言えば、良い作品の共通点と計算です。
逆に言えば、希少価値のある作品では「帰納」は、十分に使えなくなりますし。演繹も万能ではありません。
だからこそ、セオリーとは、なだめて学ぶものではなく、自ら創り上げるものであることを忘れてはいけないと思います。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
繰り返しになりますが、起承転結とは、物語によって、物事を伝えるフレームワークの一種のことです。
主に、物語で伝えたいことを「作者自身が整理する場合」、「想定読者が各場面において、どのような反応をみせるか、事前に客観視しておきたい場合」に用いられるツールです(これがホールパート法ですね笑)。
『起』『承』『転』『結』それぞれのパートで説明したい情報量を、ストーリーという流れの中でうまく操作しているだけなのです。
起承転結が持つ、本来の力を一人でも手に入れることが出来れば嬉しいです♪
それでは、そろそろ「初心者のための小説講座 – 基礎編」を修了することにしたいと思います。
お疲れ様でした!
Congratulations on completing the basic course!
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