今回は、小説に登場するキャラクターの作り方やキャラクター設定に関わる基本的な考え方について、お伝えしていきたいと思います!
大切なこと(※キャラ設定から来た方は読み飛ばしてください)
さて、キャラクターの作り方をお伝えする前にひとつ確認して欲しい大切なことがあります。
それはキャラクターを作る目的です。なぜなら、目的によって「どうやってキャラクターを作ればいいのか?」という問題に対する答えが異なってくるからです。
ひとくちにキャラクターの作り方と言っても、読者を魅惑するキャラの外見の作り方が知りたいのか。それとも、ストーリーを面白い展開に導くキャラクターに仕込んでおくべき設定が知りたいのか
はたまた、既に外見や設定などは決まっていてキャラクターに魂を宿らせる方法が知りたいのか。他にもたくさんあるでしょうが、まずは自分が「何が知りたいのか・したいのか」を明確にすることをおすすめします。
そして、既に目的が明確な方は当サイトの「キャラクター設定ナビ」をご利用ください。選択式で最適なキャラクターの作り方を見つける一助になるはずです。
というわけで、ここからは目的はまだ明確になっていないけれど、どんな作り方があるのか知っておきたいという方へ向けて
最もベーシックなキャラクターの作り方からご紹介していきます。
読者に伝えたいものからキャラ設定する
まずひとつ目の切り口として、自分の作品に込めたいメッセージからキャラクターを設定していくという方法があります。
ここで、話をわかりやすくするために、ひとつ具体例を出しましょう。
見ていないという方もいらっしゃるかもしれませんが、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』という作品があります。
この作品では「主人公になれなかった者たちにも(=読者を想定していると考察)、それぞれに物語があり、それも誰かが覚えてくれていて報われることがある」というメッセージが伝えられていました。
こういった伝えたいメッセージが明確な作品を作りたいときには、メッセージを伝えるためのキャラクター設定が必要になります。
具体的には、『主人公になれなかったキャラクター』を主役に設定しておくと、そのキャラクターが報われたとき、効果的にテーマを伝えることができます。
そこで、冴えない or 主人公っぽくないキャラクターをメインキャラクターに採用するといった工夫ができるのです。
実は『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の主要キャラクターである、エイジ(SAO内のアバター)というキャラクターに対しては、まさにこの工夫が施されています。
ここまでが、よく用いられる「キャラクターの作り方」のひとつになります。既に読者に伝えたいメッセージが決まっている方は一度試してみてはいかがでしょうか。
▼ メッセージとテーマの違いは?
ただし、ひとつ目のキャラクターの作り方は『伝えたいメッセージ』が明確になっているからこそアプローチできるというものでした。
しかし、そもそも読者へのメッセージの設定が明確に決まっていない場合もあるかと思います。
読者へのメッセージが最初から明確というのは、なかなか難しいですし、クリエイターさんによってはキャラクターを創った後に、読者へのメッセージを決めたいという方もいらっしゃいます。
そんな場合は、メッセージという切り口ではなくストーリーを引き立てるという切り口からキャラクターを作ることにしましょう。
そんなわけで、次にご紹介するのはストーリーを切り口にした、キャラクターの作り方です!
ストーリーからキャラクターを設定する
さて、それではストーリーを切り口としたキャラクターの作り方についてみていきましょう。具体例として『戦場のヴァルキュリア』という作品をあげていきますね。
ストーリーを掻い摘むと、大国同士の争いに巻き込まれたヨーロッパの小国・ガリアに住んでいた主人公達が、敵国である東ヨーロッパ帝国連合との戦争の渦中で必至に生き延びていく物語となっています。
主人公らや村娘であるヒロイン「アリシア」は小国サイドで生き抜くことになるのですが、実はこのアリシアさんの正体がとんでもなく強く、核兵器並みというストーリー展開があります。
自分達が生き残るためとはいえ、人の命を軽々と消し去ってゆくその強大な力を手に彼女は苦悩に苛まれることになるのです。
さて、このストーリーを描いていく上でアリシアさんのキャラクター設定にはどんな工夫が施されているかみて行きましょう。
ひとまずアリシアさんの基本的なキャラクター設定を事前にお伝えしておきますね。
彼女は物心ついたころから孤児院で育ち、明るく前向きな女の子で、パン職人を目指して修行していました。
しかし、愛する故郷を守るため街の自警団に入隊し、その後、義勇軍に志願しています。
この作品を描いていく上で、アリシアさんが元々めちゃくちゃ強そうなキャラクターであればどうでしょうか?正体が発覚した時の驚きは少ないですよね。
起承転結の転を強調するためにも、いかにも弱そうで華奢な女性が適役の候補になるのは自然だと思います。
そこで、アリシア・メルキオットのキャラの外見(か弱そうな村娘)やパン屋の修行をしているという設定が活きることになります。
また、それだけではなく心が強くないと戦争時の苦悩は乗り越えられませんよね。今度はリアリティの追求です。
そこについても、「物心ついたころから孤児院で育ったという苦悩と常に隣り合わせであった人物背景」や、「明るく前向きな女の子という設定」を設けています。
その設定のおかげで、リアリティが増し、より芯の強いキャラクターを演出できています。このように、ストーリー上で必要な設定を盛り込んでいくのもキャラクターを作るひとつの方法といえるでしょう。
こういったコツについて知りたい方は、「ストーリーを動かしてくれるキャラクターに大切な三つの設定」で具体的に何を設定すればいいのかを話していこうと思います。
さて、ここまでを読んで、キャラの設定をどうすればいいのか?疑問が解消していると嬉しいです。しかし、中にはストーリーもメッセージも決まってないよ!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方に向けて、更に違う方法でキャラクターを創作する方法について、引き続きご紹介していきたいと思います。
世界観からキャラクターを設定する
ストーリーや読者に伝えたいメッセージが決まっていない状態で、キャラクター創作に困っている場合は、世界観を切り口としたキャラクター設定を考えるのもいいでしょう。
具体例として、『ログ・ホライズン』という作品を取り上げることにします。作品の概要を掻い摘んで説明させていただくと、この作品はオンラインゲームの世界と現実が逆転し内気な青年が異世界を冒険するお話です。
オンラインゲームをしたことがない方もいらっしゃるかもしれませんから、ここでオンラインゲームについて、少し補足説明をしたいと思います。ご存知の方は読み飛ばしてくださいね。
オンラインゲームでは、一般的に魔法使いや剣士、騎士、弓使いなどの職業と呼ばれる設定があり、自分がゲーム内にキャラクター(アバター)を作る際にどの職業かを選びます。
その職業ごとに、使える武器や技、動作が変わってくるので、同じゲームでも職業を変えて何度か楽しめるようになっています。
この作品の世界観はオンラインゲームですから、オンラインゲーム内でよくある設定である各職業のキャラクターが欲しいと思うはずです。そこで、次に紹介するキャラクター達がうまれることになります。
ここでは、作中に登場する大柄の守護戦士(ガーディアン)の直継と小柄の暗殺者(アサシン)のアカツキというキャラクターを取り上げてみましょう。
いずれのキャラクターにもいえることですが、守護戦士である直継には大きい体型を、暗殺者であるアカツキには潜入や小回りが効く小柄な体型を設定してあります。
このように、職業ごとにキャラクターの土台を作り、更に細かい設定を追加していくというアプローチがあります。
他の例もあげるとすれば、超能力者の世界なら超能力別にキャラクターを用意して設定するというのも考えられるでしょう。ここまでが世界観を切り口にしてキャラクターを作る方法です。
この方法は最初の二つのアプローチ方法に比べると難易度は低いです。初心者の方に向いている手堅い方法なので、試してみるといいでしょう。
世界観から作るのが良さそうだと思った方で、世界観設定の方法が知りたいという方は以下の記事を参考にすると良いでしょう。
▼『世界観』の意味と舞台設定との違いは大丈夫?
あとがき
さて、すこし長くなりましたが、キャラクターの作り方は他にも無数にあります。
次のページでは、実際に一からキャラクターを作る際に何からすればいいのか困っている方も多いと思いますので「キャラクター設定シート」を用意しました。是非活用してみてくださいね。
また、目次ページにはキャラクター設定に必要なエッセンスやテクニックを厳選してご用意しています。
記事がまとまり次第どんどん更新していこうと思いますので、たくさんの学びが届けば嬉しいです♪
それでは!
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