口調・語調の意味と種類一覧まとめ!
小説や文章を書きたいときのために使えそうな「口調」&「語調」の意味と種類一覧をまとめておきました!
是非、活用してみてくださいー!
目次
- 口調・語調の意味とは?
- 「口調」と「語調」の違い
- 口調の描写方法は、2パターン
- 台詞文における口調の種類
- 地の文における口調の種類
- キャラクターに対する口調の役割
- 口調は、使い分けるべきか?
- 口調による叙述トリック
口調・語調の意味とは?
口調(くちょう)とは、話し言葉における言葉の調子のことで。
語調(ごちょう)とは、話し言葉を含めた文章中における言葉の調子のことです。
以下、情報の正確性のため辞書からの引用も補記しておきます。
▼口調(くちょう)の意味とは?
く‐ちょう〔‐テウ〕【口調】 の解説
1 口に出したときの言葉の調子。「口調のいい、気のきいた言い回し」
2 ものの言い方のようす。声の出し方や言葉の使い方などに表れた特徴。「改まった口調」「師の口調をまねる」
引用元:goo辞典「口調」
▼語調(ごちょう)の意味とは?
ご‐ちょう〔‐テウ〕【語調】 の解説
1 話すときの言葉の調子。言葉つき。「語調を和らげる」
2 話すときの声の高さの変動。イントネーション。また、アクセント。
引用元:goo辞典「語調」
「口調」と「語調」の違い
辞書によると「口調」も「語調」も同じもののように見えますが、調べてみたところ少し違いがあるようです。
例えば、「彼の文章は、口調が強い」といった表現よりも、「彼の文書は、語調が強い」という言い回しの方が、しっくりくることがあるのです。
これを受けて、「口調」は会話中の言い回し方のことで。
「語調」は、会話中だけではなく、文章中も含めた言い回し方のことを指す、とする解釈もあるというわけですね。
口調の描写方法は、2パターン
口調の具体例や分類に入る前に、小説や文章においての口調の描写方法は大きく2パターンにわかれています。
それは、会話文を用いた口調の描写と、地の文を用いた口調の描写です。
以下に、描写方法の具体例を挙げておきます。
このように、会話文中の口調については「語尾」や「人称」、「呼び名」によって差が生まれる傾向にあり、
一方、地の文における口調表現では「○○のような口調で」という〇〇の部分の修飾節によって分類・研究が行われているようです。
台詞文における口調の種類
先述の通り、台詞文における口調は「語尾」・「人称」・「呼び名」によって分類されます。
それぞれ、見ていくことにしましょう!
◆ 語尾の一覧 ◆
「~ですわ」「~のじゃ」「~です」「~ます」「~であります」「~あるよ」「~ずら」「~だべ」「~だわ」「~なのだ」「~でございます」「~でーす!」「~♪」「~っす」「~だよ」「~だぜ」「~だお」「~なのです」「~にゃ」「~っぺ」「~なの」「~なのね」「~かしら」「~でごわす」「~なり」「~ござる」「~ざんす・~ざます」「~だし」「~じゃけ」「~だーね」「~ダナ」「~たまえ」「~だわさ」「~でち」「~ネ」「~だ」「~であーる」「~である」「~ですの」「~よ」
◆ 人称の一覧 ◆
私、わたくし、あたし、あたくし、あたい、俺、僕、自分、わい、わて、うち、わっち、おいら、おら、ぼくちん、わしゃあ、わたしゃあ、あちき、先生、小官、本官、わらわ、吾輩、拙者、俺様、それがし、小生、我、よ(貴族的な人称)、ミー
◆ 人称の一覧(外国語版) ◆
アイ(英語:I)、イッヒ(ドイツ語:ich)、ジュ(フランス語:je)、イオ(イタリア語:io)、イーク(オランダ語:ik)、ヤー(ロシア語:Я)、ウォア(中国語:我)、ジョー(スペイン語:Yo)
◆ 呼び名(二人称)の一覧◆
「あなた」、「貴殿」、「貴公」、「おまえ」、「君」、「手前」、「貴様」、「先輩」、「おぬし」、「なんじ」、「お前さん」、「お客様」、「お客さん」、「ご主人さま」、「マスター」、「先生」、「師匠」、「ユー」、「~さん」、「~ちゃん」、「~くん」、「~君」、「~タソ」、「~たん」、「~きゅん」、「~ぴょん」、「~ぽん」、「~りん」、「~きち」、「~太、~夫」、「~子、~美」
※その他にも、「みくみく」のように「あだ名呼び」というのもあります。
※さらに、カタカナ表記、漢字表記、ひらがな表記によって、印象も操作することが可能です。
地の文における口調の種類
地の文における口調の種類は、非常に多いので分類にとどめておきます。もし詳細が知りたいときは「日本語表現インフォ」を参照すると良いでしょう。
といっても、図鑑やリストのようなものは見ているだけだと、フル活用できないので。
以下の分類方法によって、自分が探したい口調にあらかじめ当たりを付けておく方法を伝授しておきますね。
・分類方法
地の文の分類は、非常に難しいのですが。大まかに、以下の要素によって決まっているようです。
- 「短期的な口調(例:怒った口調)」か「長期・恒久的な口調(例:関西弁)」
- 「話し手と聞き手の関係性を表現する口調(例:命令口調、暴力的な口調)」
- 「話し方のスタイルが固定されている口調(例:ナレーター口調、バスガイド口調)」
- 「音を重視して表現する口調(例:ゆっくりとした口調、か細い口調)」
- 「聞き手の感じた印象を表現する口調(例:大げさな口調)」
※4番目の「音を重視する口調」は、もう少し細分化されていて「速度」「明瞭さ」「流暢さ」「抑揚」「音量」といった要素に分解することができます。
・参考文献:日本語の 「口調」 にはどんな種類があるか – J-Stage
キャラクターに対する口調の役割とは?
以前、キャラクター設定をする際に、最初に決めておくべき項目は、以下の10項目+アルファであるということをお話していました。
最低限決めておきたい!キャラクター設定項目
「名前」「顔のイメージ」「年齢」「性別」「一人称」「口調」「肌と髪の色」「身体的特徴」「髪型モデル」「性格モデル」
このうち、わざわざ視覚的情報の描写を必要としないもの。
つまり、何度も何度も文中に登場しても不自然ではない設定が「名前」と「口調」、「人称」です。
そのため、表現方法が文章しかない小説において「口調」は、キャラクターの表情や印象、だれが話しているのかを明確したい場合、重要な要素の一つになっていきます。
特に、「お嬢様口調」や「坊っちゃん口調」のようなキャラクターそのものに属性を付けてしまう口調たちのことを「役割語」と呼ぶそうです。
役割語には、以下のようなものがあります。
◆語尾に決め台詞を使う。例:アニメ『ブラッククローバー』セッケ・ブロンザッザの語尾「フッハ」、アニメ『侵略イカ娘』イカ娘の語尾「ゲゾ」
◆狂人系。例:Re;ゼロから始まる異世界生活 ペテルギウス・ロマネコンティ
◆侍・武士系:拙者や童、汝などを人称に用いることが多い。
◆英語被れ:ルー語のようなカタカナ英語を大量に利用するキャラクター
◆関西弁・博多弁などの方言:小説での使用は結構難易度高いかも
◆不良:常に喧嘩売ってそうな口調
◆ギャル:伸ばし棒が多めで、砕けた若者言葉の類
◆引っ込み思案:「……」を多用。
◆ら抜き言葉
◆おいらん系:わっち等を使用
口調は、使い分けるべきか?
小説においては視覚的な情報が少なくなりがちなため、「口調」は話しているキャラクターを判別する際にもよく活用されています。
しかし、キャラ立ちを考えて、必ずしも個性の尖った口調を用意しなければならないのでしょうか?
結論からいえば、そういうわけでもありません。一般文芸作品や、キャラ数が多い作品を見れば理解しやすいと思います。
キャラクター小説やライトノベルにおいては、口調と言えば「役割語」が注視されがちですが。
本来は、「役割語」を使わずともキャラクターは区別できます。
それが「人称」と「文章構成」の活用です。
また、「役割語」を出そうとところで、自分好みのキャラクターを創作していると自然とキャラの口調が被るという問題が起こりがちです。
みなさんは洋服を買う時に、気付いたら似たような服を買った経験はないでしょうか?
これはキャラクター創作にもいえることなのです。
そういうわけで、続いては「口調を使い分けなくても、読みやすい文章」の具体例にいってみましょう!
~ 具体例 ~
そして、彼女はパフェをひとくち頬張った。その幸せそうな顔をみていると、私の顔まで緩んでしまいそうだ。
「閣下、美味しいですか?」
彼女は、私のことを思い出したようにこちらをむくと、
「美味しいです!」
と、満面の笑みを放った。
まず、対処法としては「三人以上を一度に話すシーンを作らない」、「台詞を連続させずに、地の文を挟む」といった文章構成による回避方法があります。
一人称視点作品であれば、この時点で動作の相手が消去法できまりますし、
三人称の場合でも、少し差をつけるだけですぐに誰の台詞か理解できるようになります。
もちろん、これだけでは限界がありますので人物を特定する人称を地の文で用います。例でいうと、「閣下」がそれにあたります。
こうすることで返事となる台詞を返す人物は「閣下」しかいなくなる状態を作り出すことが出来るため、台詞の発言者が容易に想像できます。
こういう所で、あだ名などがよく活用されますよね。
他にも、例のように「食べる」という動作をしている人と、そうでない人の二人が居るようなとき「美味しい!」と発言できるのは「食べている側」しかいないですよね。
こういった、キャラクターの動作に結びついた表現によって回避するという手もあります。
では、何故ライトノベル作品には「役割語」が多い傾向にあるのでしょうか?それは、ジャンルがファンタジーに大きく偏っているからです。
ファンタジーにおいては、作中で説明すべき情報が非常に多くなるので、比喩の一種である諷喩(アレゴリー)を用いてキャラクター設定の説明を省く傾向にあるのです。
▼ 比喩の解説は、こちらから!
口調による叙述トリック
また、あえて口調を分けないという工夫もあったりします。このテクニックは後々「叙述トリック」という手法にも応用が利きます。
叙述トリックとは、簡単に言えばミステリー作品などにおいて、主人公が犯人を探していたが「犯人は自分だった」など、読者をいい意味で欺くために利用されるテクニックのことです。
意図的にAさんの台詞だと思って作品を読み進めるうちに、実は別人で事の真相が解明されていくというスタイルです。
このように口調の使い分けでは出せない長所というのもあります。何事も一長一短ということですね。
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