シナリオ・ハンティングとは?
映画の脚本や小説を書いていると、シナリオ・ハンティング(略称:シナハン)という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
かくいう、シナリオ・ハンティング(Scenario Hunting)の意味は「脚本や台本を製作するために行う取材活動のこと」です。以下、東京映像映画学校(TMS)の業界用語辞典からの引用です。
シナリオハンティング
台本を書くための取材。シナハンとも言う。
引用元:東京映像映画学校(TMS)- 業界用語辞典
例えば、「ひぐらしのなく頃に」のように白川郷を舞台とした小説や漫画を製作したい場合、あからさまに白川郷と同じような風景を用いながら描写していくことになります。
こういったケースであれば、事前にその地域の歴史や風土に触れておいたほうが無難でしょう。地域文化的なタブーなどもあるからですね。
基本的な情報であれば、地方の図書館にある郷土資料を参考にしてみると良いでしょう。一番正確な情報が載っているはずです。市役所が主催しているツアーなどもあれば参加してみてもいいかもしれません。
といっても、半分くらいは建前で本音をいえば地域の伝承とかって結構興味深いですし、探求心をくすぐられながらの旅行って、なかなか楽しそうじゃないですか(笑)
シナハンとロケハンの違い
似たような響きの言葉に「ロケーション・ハンティング(略してロケハン)」というものもありますが、こちらは、主にテレビ業界においてスタジオ外の撮影場所を選定することを目的としたものとされています。
以下、辞書からの引用です。
ロケハン
映画などで撮影に適した景色のある場所を探すこと、ロケ地を選定することを指す語。ロケハンは「ロケーションハンティング」の略で、和製英語。
引用元:実用日本語表現辞典
要するに、シナリオや脚本を書くために綿密な事前取材や調査を行うのが「シナハン」、映像を撮影するときにスタジオの外で良いロケーション・撮影場所を探す活動が「ロケハン」ということですね。
といっても、実務でいえば脚本家や撮影部隊が合同で行うことも多いようなので、混同されても致し方ない気もします。
元々ロケハンは、ヘンリー・小谷(本名:小谷倉市)という日本の映画製作者が、アメリカから持ち込んできた業界技術の一つといわれています。
シナリオ・ハンティングのやり方
さて、ここまできて気になるのは基本的な「やり方」についてですよね。
結論から述べることにしましょう。シナハンのコツは、普段訪れないけれど日常的で何気ない場所や、いつか行こうと思っていた場所に携帯の電源をオフにして足を運ぶことです。
たとえば、主人公がカフェで友人Aと話す機会があったとしましょう。そこで情景描写や書き方に詰まったら、とりあえずカフェにいってみれば良いのです。
できれば既視感がない方が刺激になってくれると思いますので、いつも行かないカフェにしてみるのも面白いでしょう。
たまに家の近くにあるコメダやスタバにいっているのであれば、ほとんどいかない個人経営の喫茶店や数駅離れた商店街へ行ってみるといった感じですね。
そして、そこでどんな音が鳴っているか、どんな人がお客さんとして訪れてきているのか、店内で勉強している人、談笑している人、一人でお昼を食べている人、みんなはどんなことをして過ごしているのか?
また、内装のうちパット見で目につくところ(羽を回転させているシャンデリアなど)はないか、店内に入ってからの店員さんの誘導はどういった順序で行われているか、変態ではないかと疑われるくらい舐めるように観察してあげましょう。無事、補導されます(白目)。
というのは冗談ですが、実際にカフェに行ってみるとメインディッシュの前にサラダが運ばれてくることを描写し忘れていたことなんてよくあります。
もちろん、カフェはあくまで一例ですが、田舎にある神社や博物館・資料展など交通の便があえて悪いところを目的地として選び、徒歩で散歩してみると、なかなか収穫になるものがあります。
まぁ体力的な問題も発生しますので、秋か春がおすすめですね。日帰り旅行が一番やりやすいと思います。
現代では最短ルートで無駄のない行動ができる世の中になって便利ではありますが、裏返してみれば寄り道の仕方もよくわからなくなってしまっているような人も多い気がします。
もし行く場所に困っていたら、雑誌が役に立ってくれるでしょう。昔は雑誌を書店で買ってきていたのですが、こういうものに関しては電子書籍ってほんとにお手軽で便利ですよね~(笑)
個人的には雑誌ムックが一番わかりやすくて好きですね。また、集団で本格的なロケハンをやるならドラマ制作について「ドラマ番組のワークフロー(PDF)」を参考に勉強してみるのも良いでしょう。
▼ご参考:関東圏の方はこちら!
▼ご参考:関西圏の方はこちら!
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