オノマトペとは?
オノマトペ(フランス語:onomatopee)とは、自然界の音や状態を言葉にあてがった表現たちのことです。
例えば、「ドンドンと、ドアを叩く音がする」といった文があるとすれば、ドアを叩く音を表現している「ドンドン」という言葉がオノマトペに当たります。
オノマトペの語源
オノマトペの語源は、『造語』または『言葉を造る』という意味の古代ギリシア語「onomatopoiia(オノマトポーイア)」です。
「onomatopoiia(オノマトペ)」=「onoma(和訳:名前)」+「poiein(和訳:造る)」としているところからきています。
言葉にできない感覚的なものに対して、不便なので「言葉で表現してみたもの」ということなのでしょう。その後、時を経て現在のフランス語である「オノマトペ」という呼称が、日本でも用いられることになります。
音喩(おんゆ)とは?
漫画で用いられるオノマトペのことを切り出して「音喩(おんゆ)」と呼ぶこともあります。
これは漫画で用いる文字は、画像記号とも解釈できること、オノマトペの範囲が明確でなかったことに起因しており。
例として、漫画で多用される「うわああああ」が、果たしてオノマトペなのか否かという議論で時節、音喩として、取り上げられることがあります。
目次
> オノマトペの種類
> オノマトペが持つ魅力と効果
> オノマトペの使い方
・効果的に印象を与えるヒント
・オノマトペにおける法則性
>(補足)オノマトペのルールについて
> オノマトペ一覧(約3000種類)
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オノマトペの種類
日本語のオノマトペは、一般的には大きく2種類にわかれているとされており、以下のような違いがあります。
・擬音語(ぎおんご)
擬音語(ぎおんご)とは、実際に音がするものに対して言葉で真似をしたものです。
・擬態語(ぎたいご)
擬態語(ぎたいご)とは、実際には音がしない物体の状態を表したものです。
尚、実際には「擬音語」なのか「擬態語」なのかという明確な線引きは存在していません。その例として、「ガタッ」というオノマトペが挙げられます。
例えば、「客足ががたっと減った」と表現したとき、実際に音がするわけではないので「がたっ」というオノマトペは擬態語(ぎたいご)と解釈できます。
しかし、「彼は、ガタッと立ち上がる」と表現するのであれば、音がしているので擬音語(ぎおんご)とも解釈することができるのです。
オノマトペの分類は、現在でもいくつか研究結果が並列しており。正確に言えば、もう少し細分化されることもあります。
実際に音がするオノマトペ(擬音語)は、「声を模したもの(=擬声語)」と「声以外の音を模したもの(=擬音語)」に細分化されており。
また、音がしないオノマトペ(擬態語)も、「無生物の状態を表現するもの(=擬態語)」、「生物の状態を表現売るもの(=擬容語)」、「人の感情を表現するもの(擬情語)」と細分化されています。
具体例は、以下の通りです。
・オノマトペの分類例
- 擬声語:「ワンワン」、「ニャーニャー」、「エーンエーン」
- 擬音語:「ドンドン」、「ゴロゴロ」、「パタパタ」
- 擬態語:「きらきら」、「ぴかぴか」、「つるつる」
- 擬容語:「うろうろ」、「ふらふら」、「のろのろ」
- 擬情語:「いらいら」、「うきうき」、「そわそわ」
※参考文献:日本語教育論集、金田一(1978)「擬音語・擬態語概説」浅野編『擬音語・擬態語辞典』所収角川書店
これ、めっちゃわかりやすい! pic.twitter.com/4BamBirV9F
— 管理人🍁らぴ【作家の味方】 (@kazakiribana2) January 4, 2020
ここからは曖昧さを回避するため。冒頭で述べた『擬態語』と『擬音語』の2分類を前提にして、進めていきます。
続いては、「オノマトペ」の持つ効果と、使い方についてお話していこうと思います。
オノマトペが持つ魅力と効果
オノマトペが持つ魅力は、その「わかりやすさ」と「汎用性」にあると言われています。
映像媒体と比較して、漫画を含めた文字媒体の強みとして挙げられるのが、オノマトペが活用しやすいことでしょう。※ただし、映像作品に文字を挿入する手法もあります。
映像作品においては、『擬音語』を実際に音で表現することはできますが。『擬態語』、特に感情を端的に表現する『擬情語』のようなものを表現することが、通常できません。
そういった点において、映像で表現できない『嗅覚』・『触覚』・『味覚』に関する情報を再現できるところが、文学作品における強みの一つといえるでしょう。
そのため、通常音を出すことのできない街頭広告のキャッチコピーや、チャットでのコミュニケーションに用いられることが多い状況です。
ちなみに、「シャー!」と言ってから作業をすると効率が上がるそうです。
小説や記事の文章を書き始めるときは、全身をペチペチ叩いて、「シャー!」と叫ぶと良いでしょう!(冗談です笑)
オノマトペの使い方
まず、「オノマトペ」は助詞と組み合わせることで「名詞」「形容詞」「動詞」「副詞」のいずれにもなれるという極めて自由度の高い性質を持っています。
・各品詞における活用例
- 名詞:ドキドキが止まらない
- 動詞:ドキドキする
- 形容詞:ドキドキの発表会
- 副詞:ドキドキと鼓動する
そのため、オノマトペを文中のどこに配置するかで悩むことは、ほとんど無いでしょう。
悩むとすれば「①適切な印象を与えることが出来ているか?」
小説において指摘するならば「②稚拙な印象を読者に与えていないか?」という点が挙げられます。
それぞれ対策案は、以下の通りになるでしょう。※ただし、あくまで研究途上のため、一つの解釈にすぎません。
これは補足ですが、文作作品におけるオノマトペの使い方は非常に難度が高いため、基本使わない方向にすると良いでしょう。※エッセイ、童話、拘りがあるケースにおいては、その限りではありません。
・効果的に印象を与えるヒント
「オノマトペ」が簡潔に物の状況や状態を表現できる背景には、日本人が日本語の母音や子音に共通認識を持っていることがあるとされています。
例えば、みなさんは「い」という音にどんなイメージを持っていますか?お時間がある方は、少しだけでいいので一度考えてみてから読み進めることをおすすめします。
以下、関西外国語大学から出されている面白い論文があったので抜粋させていただきました。
日本語の母音「あ、い、う、え、お」では、共通の一つ一つに異なったイメージがあるようである。例えば「あ」音では大きく外に広がったニュアンスがあり、「い」音は張りつめた緊張が感じられる。「う」音は内に抑えられたニュアンスがあり、「え」音は意外であり汚い感じもある様である。「お」音は内に籠もった丸く重いイメージだ。同じパ行のオノマトペでも「パラパラ」では雨などが軽やかに弾むように降る様子、「ピリピリ」では緊張した空気が、「プルプル」では外側にではなく内に向いた震える様子、「ポロポロ」はこぼれ落ちる様子を表すなど、違った音、様子を表すことになる。似た状況を表すオノマトペ、例えば雷の音を表すカ行のオノマトペにおいても、「ガラガラ」と「ゴロゴロ」では、前者は空から落ちてくる雷の音を後者は今にも落ちそうな雷の雲の合間から聞こえてくる音を表しており、微妙にニュアンスは違う。更に細かく考察すると、日本語の50音一つ一つの音においても比較的共通の印象が持たれているようである。丹野真智俊が行った研究(2005)によると、「し」は静かなイメージ、「ふ」軽い、「げ」汚い、「ぜ」苦しい、「ぷ」かわいいといった共通のイメージがある。
このように、日本語の母音や子音が持つイメージをあわせていくと、自分が表現したい「オノマトペ」を適切に選択することができるようになります。
そして、もう一つオノマトペには法則性があるので、そちらも加えて習得しておくと音の印象を自在に使いこなすことができるようになるでしょう。
・オノマトペにおける法則性
星の数ほどある「オノマトペ」ですが、実は法則性があることが知られています。
有名なものとしては「促音(そくおん)」「撥音(はつおん)」「リ音」「反復」「清濁音(せいだくおん)」が挙げられるでしょう。
・促音(そくおん)
促音(そくおん)と言うと難しく聞こえますが、小さい「つ」のことです。つまり、「っ」で終わるオノマトペのことです。
具体例をみると分かりやすいと思いますが、促音を用いたオノマトペでは「俊敏さ」や「瞬発性」を表現することが出来ます。
「くらっ」と表現すると、一瞬だけ「くらっ」としたように読み取れます。
・撥音(はつおん)
続いて、撥音(はつおん)ですが「ん」のことです。つまり、「ん」で終わるオノマトペのことです。
撥音の面白いところは、擬音語(ぎおんご)か、擬態語(ぎたいご)かでオノマトペによる効果が異なってくるところです。
・擬音語(ぎおんご)の撥音
擬音語において、撥音は「余韻を残す」という印象を与える効果があります。
また、余韻のレベルによって伸ばし棒(長音符)組み合わされる事が多いです。
- 余韻なし:ボト
- 余韻レベル1:ボトン
- 余韻レベル2:ボットーン
・擬態語(ぎたいご)の撥音
擬態語において、撥音はリズムを生み出す効果を持っています。
・リ音
リ音も文字通り、語尾に「リ」が付くオノマトペ(特に擬態語)の型を指します。
ゆっくりとした表現を行うのが「リ音」という型です。
・反復
既に何回も登場しているのですが、「オノマトペ」を二回繰り替えす表現のことです。
例をあげ始めると、大半を占めてくるのが「反復」表現のように思われます。オノマトペによる反復表現では、音や動作が繰り返されている様を表現することができます。
・清濁音
オノマトペは、濁点(だくてん)の有無によって、大きく印象をかえることもできます。
一般的に濁点の無い「清音」は、明るさや軽さ、澄んだ表現。濁点のある「濁音」は、暗さや重さ、粗雑で濁っている表現ができるとされています。
また、擬音語においても濁音が音量を大きく印象づける効果が確認されています。
(補足)オノマトペのルールについて
ちなみに、日本語教育においては擬音語は「カタカナ」を、擬態語は「ひらがな」で表記するということになっています。
しかし、プロの作家さんでも「一切、気にしたことがないぞ!」という方は多いようなので、あまり神経質になりすぎず好きな方を選ぶとよいのではないでしょうか。
また、外国語翻訳の際に、擬音語は翻訳できないことがあるので注意してくださいね!
日本人向けの童話作家さんには、以下のような『オノマトペ辞典』が、とても役に立ってくれるでしょう。
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