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駄作の意味と条件とは?|なぜ映画やドラマが駄作になってしまうのか?

駄作の意味と条件とは?


駄作(ださく)とは、取るに足らず価値が乏しいと思われる作品のことです。以下、辞書より引用したものも念のため補記しておくことにしたいと思います。

 

だ‐さく【駄作】
出来の悪い作品。取るに足りない作品。
引用元:goo辞典

 

ただ、これだけで「駄作」という言葉を定義してしまうと、「誰からみるか」によって、その作品が駄作なのかどうか変わってくることになってしまいますよね。

 

人によって価値を感じるものは異なりますし、なにより取るに足らないかどうかなんて主観でしかないでしょう。

 

とはいえ、生きていれば「ある人の話がつまらない」といった愚痴を聞かされることだってあると思います。そう考えてみると、どうしても評判が悪くなりやすい印象の話が存在していることも、また事実だと思います。

 

それでは、より実感として「駄作」と思われてしまいがちな物語(映画やドラマ)の構造や条件とは、一体どういったものなのでしょうか?

 

今回は茶天さま著の『駄作回避マニュアル・失敗しない物語の作り方 (rainy hope)』を参考にさせていただきながら「駄作とは何か」改めて考えていくことにしたいと思います。

 

※創作論の評論についてですが、わたしは作家さんにおすすめの書籍を紹介していくアフィリエイター(=本のことを良く言えば儲けられる人)でありながら、同じ創作論についての書籍を刊行している著者(=本のことを良く言えば、ライバルに収益を取られる人)でもあるので、わりと公正な立場から批評していくことができるのではないかと思います!(*´σー`)

 

駄作とは何か


結論から言ってしまえば、物語に『意外性』と『平凡性』のバランスが取れているかどうかというお話でした。以下、引用です。

 

 平凡性だけの物語はつまらなく、意外性だけだと読者を置いてきぼりにする独りよがりな物語になってしまう。
引用元:『駄作回避マニュアル・失敗しない物語の作り方 (rainy hope)』

 

興味深いことに、この記述についてはアリストテレスも『詩学』のなかで言及しているんですよね。

 

『詩学』では、悲劇を面白くするためには「ペリペテイア(逆転)」と「アナグノリシス(認知)」が大切だという話が繰り返し展開されています。

 

用語を使うとわかりにくいと思いますので、「読者が予想している展開と逆方向に話を進めること(逆転)」と「読者に衝撃を与える気づきのこと(認知)」という言葉を用いることにしたいと思います。

 

まず、逆転について話していくことにしたいと思います。物語の冒頭で読者が不満を抱くようなイベントや悪い予感を与える場面は真逆の結末とセットにすることで、読者の気分を高揚させてくれるものです。

 

こういった逆転を作り込むためには、通常「対立構造」を作っておく必要があります。なぜなら、対立構造がなければ逆転する相手もいませんし、相手が強力だからこそピンチと大逆転というドラマは生まれてくるからです。

 

ただ、逆転劇が無いと必ず話を面白くすることが出来ないかというと、そういうわけでもありません。それが認知(気付き)から生まれる意外性でしょう。

 

こちらの例としては、小説を普通に楽しんだあと「最後の一文」で全てがひっくり返されるような設計になっているミステリー小説や、些細なことに気づいてほっこりするエピソードが挙げられます。

 

こういったケースでは、逆転というより『認知』のほうが読者に意外性をもたらしてくれています。

 

そういった意味で、ペリペテイア(逆転)とアナグノリシス(認知)の両方をまとめると『意外性』という言葉に落ち着くのかもしれません。

 

ただし、逆転や認知が連続しすぎるのも作品にとっては良くないと述べられています。たしかに、これには同意ですね。無いよりはマシですが、読者の舌がこえて鈍感になってしまいますから。

 

というわけで、駄作と言われたくない作家さんは『意外性』と『平凡性』のバランスに気をつけてあげるといいのではないかというお話でした!

 

ちなみに、同書では「一行あらすじを書こう!」というのと、「キャラクターの内面に関する筋書きと目標に至るまでの経過に関する筋書きがある」といったアドバイスが載っているのですが、個人的にはここは参考になりました。

 

そもそも映画業界では一行であらすじを書いたものを『プレミス』と読んでいますし、物語をつくり始める前にプレミスを立てるというのは、よく知られた手法ですので参考にしていいと思います。

 

また、後者については自著『筆を折った人のための創作論』の第一章でも述べておいたのですが、キャラクターには感情を豊かに持たせる必要がある一方で、出来事の配列は超展開にならないようにある程度合理的なものにしておく必要があります。

 

ただ、これだけだと不十分でキャラクターの内面から発せられる感情的な筋書きと、出来事の合理性から発せられる論理的な筋書きは得てして衝突することがあるのです。

 

たとえば、キャラクターが「ある行動」をとりたくないとしているのに、ストーリーの流れ的にやらせてしまおうとするのは、キャラぶれへとつながっていくことになるので注意したほうが良いでしょう。

 

そういったケースにおいては、キャラクターは素直に嫌がっていいのです。上官の命令や集団規則といった強制力を理由に持たせて、論理的な筋を行使してあげればいいだけなのです。

 

よく意外性という言葉を使うと勘違いされる方もいらっしゃるのですが、キャラクターがストーリーに寄り添いすぎて「らしくない状態」になってしまうのは『意外』ではなく、むしろ『作画崩壊』に近い印象を受け手に与えてしまいます。

 

さて、今回ご紹介した作品ですがAmazonの読み放題で読む分には、お得な内容が散りばめられているので『筆を折った人のための創作論』を読んでいて、あまり理解できなかったという方には別の言葉で説明してくれているので大変参考にできると思います!

 

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