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【第三回】小説の書き方ヒントまとめ(生まれてきてくれて、ありがとう)

 

お待たせしました!好評につき、今回で第三弾になりますが!

 

前回と同様に、他人の作品を読んで良いと思った点や、取り入れたい技術について特集して行こうと思います!

 

今回ご紹介する作品は『生まれてきてくれて、ありがとう』(作者:moe 先生)という作品になります。

 

※このコーナーでは作者様から許可を頂いた上で、引用や画像の使用を行っております。

 

作品紹介

 

ジャンルは、『ヒューマンドラマ』になります。読み進めていく毎に、ついつい次のページを読んでしまうような作品なので、とにかく三話まで読むことをおすすめします。

 

きっと癖になるはず!というわけで、ネタバレもしたくないので、あらすじを簡単にご説明しますね!

 

意識不明の母と、行方不明の父を親に持つ少女、楓(かえで)。彼女を中心として物語は進んでゆきます。

そんな彼女と幼き頃から行動を共にしてきた少年、瑠依(るい)の思いも交差し――。

そんな周囲の思いや行動に翻弄されながらも、一人の少女が幸せに出会う物語。

 

参考にしたいところ

 

今回なんといっても目だってよかったと思う点は、『タイトル』と『あらすじ』です。なんというか、良い意味ですごく胸がざわつくようなタイトルだなぁという第一印象を受けました。

 

この作品のタイトル『生まれてきてくれて、ありがとう』は、ファンタジーやSFなどではあまり馴染みがないタイトルですが、「ヒューマンドラマ」というジャンルでは、かなり効果的なタイトルになっていると思います。

 

また、『あらすじ』がすごく端的でわかりやすかったのもかなり好印象でした。タイトルと第一話と並んで小説が読まれるのに大事なのが『あらすじ』です。

 

ここがわかりにくいと読者がつかなくなってしまうので、描きっぱなしにしないようにしましょう。PV数が少なくて悩んでいる方は、『あらすじ』だけでも何度か見返すことで改善に繋がることもありますよ!

 

というわけで、一つずつ良かった点について一緒に分析していこうと思います!

 

タイトルのネーミングの良さ

 

冒頭でお話した通り今回の作品は、タイトルですごく惹かれる作品だと思います。しかし、なぜ惹かれるのか?

 

最初は私もわからなかったのですが、作者さんのお話を聞いて納得したことがありました。『生まれてきてくれて、ありがとう』というタイトルを聞くと、何故胸がざわつくのか?

 

それは、みなさんが言われたい言葉だからではないでしょうか?

 

というわけで、試しに他にも言われたい言葉を改めて探してみたのですが、例えば『大好き』とか『私は幸せでした』とかあると思うんですよね。

 

どちらともなんか胸がざわつく感じがするので、「ヒューマンドラマ」というジャンルにおいてはこういうタイトルの付け方も一つの参考になるのではないかと思います。

 

色彩による心情描写

 

この作品では、何度も色についての描写が登場します。瞳の色、夕日の色、布団の色から時計の色まで。

 

そして、この色彩表現は主人公の心情を描写する上でかなり効果的なものになっているんですよね。

 

どういうことかというと、一見、色彩表現が多いと色とりどりの世界が見えるように思えてしまいますが、不思議なことに実は真逆のことが起こります。

 

例えば、「最初に目に飛び込んできた群青色の掛布団が、今まで見ていたのは夢だったのだと告げる。」という文章があるのですが。

 

掛布団の色をあえて切り出して描写することによって、掛布団以外のものがグレーアウトされたような(色が薄いような)状態ができるのです。

 

このグレーアウトされた部分が、主人公の過去の暗い記憶とマッチしているので心情描写のひとつの手段として覚えておくといいかもしれませんね!

 

共感性の利用

 

日常系の作品や、ヒューマンドラマといった作品群では、ファンタジー小説やSFなどのようにストーリー上の出来事のインパクトが弱くなりがちなんですよね。

 

例えば、ファンタジーでいえば異世界転生なんて天変地異的な展開もありますし、SFでも宣戦布告などのドデカイ出来事が発生しえます。

 

だからこそ、いかにして他の方法で作品の中に強いインパクトを作り、人の心を動かすのか?というところが勝負になるとおもいます。

 

そこで一番、利用しやすいのは共感になります。では、この作品のどこでその共感を作っているのかというと、風景描写になります。

 

本編で出てきている、「塗装が剥がれ落ちてくすんだ緑色のフェンス」や「蝉がみーんみ―ん、と羽を震わせながらけたたましく鳴いていて、頭皮が焼けてしまいそうなほど日照りの強い夕暮れ時」といった表現。

 

これらは誰しもある程度は経験したことがある風情というか情景だと思います。見たことのある風景は想像がしやすいため物語への没入度を上げることができるでしょう。

 

また、これらの体験が主人公や少年の体験になっていることによって共感性が高い作品となり強いインパクトを読者に残すことが出来ているのだと思います。

 

ストーリーの進行スピードにメリハリがある

 

この作品では、地の文が長いところと短いところが登場してきます。しかも、うまく使い分けができていましたので紹介したいと思います。

 

まず、地の文が長いと読者はどう感じるのでしょうか?たくさんの情報が頭に入ってくるので読む時間や体感時間が必然的に長くなります。

 

なので、ストーリーとしては少し遅めのペースで進むように感じます。一方で、地の文が短い場合はその逆でスピードの速い展開を描くことが出来ます。

 

これらを上手く使い分けることで、魅せたい場面を盛上げることなんかもできます。

 

さらに、これを応用すると面白い描き方が可能になります。それは地の文を短くして、一瞬の出来事の細かい部分を描写することで「コマ送りのような描写」が出来るのです!

 

地の文が短いのに、コマ送りのように遅く感じさせるという点で興味深い演出だと思ったので、参考になれば嬉しいです。

 

各話終盤の引きが強い

 

もう一つ、この作品に抱いた強い印象は次の話を読むのに全くと言っていいほど抵抗を感じなかったことです。特に三話付近。

 

そこで、各話の終盤のシーンを分析してみたのですが毎回キャラクターの本音や本心が入った台詞で終わっていることがわかりました。

 

それと次話を読むのに抵抗がないというのには、どう関係があるのでしょうか?ということでひとつ仮説を見つけたので共有したいと思いますね。

 

各話の終盤シーンでキャラクターの本音や本心が入った台詞を入れることで、おそらく読者にインパクトと感情移入を与えているのだと思われます。

 

そして、読者が感情移入したところで話しが終わる。つまり、その「読者が感情移入したこと自体」が次の話を読まない理由を消していると考えられます。

 

歌詞の応用

 

まだまだ、いっぱいあったのですが記事も長くなってきたのでこれで最後にしましょう。これは第三話に登場する下記の表現の部分になります。

 

春。誰もいない空虚な廊下。「ただいま」に、返される言葉もない部屋。

桜。コンクリートに染み込んだ花びら。力を失った母の手足。頭から流れる梅のように真っ赤な鮮血。

息吹。「ごめんね」とだけ真ん中に寂しく書かれた、一枚のコピー用紙。救急車のサイレンの音。

 

こちら歌詞を彷彿とさせるような特徴的な文章構成になっています。歌詞ってテンポ良く読むことを可能にする文体なんですよね。

 

なので、こんな風に小説の中で利用することで心地よさやテンポ良く心情を演出する際に一つの創意工夫として、使えそうだったのでピックアップさせて頂きました。

 

というわけで、まとめに参りましょう!

 

まとめ

今回は、『タイトルのネーミングの良さ』、『色彩による心情描写』、『共感性の利用』、『ストーリーの進行スピードにメリハリがある』『各話終盤の引きが強い』『歌詞の応用が行われている』ところが素晴らしい作品に巡り合うことが出来ました。

 

ジャンルによっては、取り入れない方がいい工夫もありますので注意していただきたいですが。みなさんもここでご紹介する作品たちを読んでみて面白い!と思うのであれば取り入れることをおすすめします。

 

というわけで、今日もみなさんお疲れ様でした♪

 

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