伏線の意味と使い方を具体例から解説!
伏線(ふくせん)とは、小説や物語を創作する際、作者から読者へ「驚き」や「気づき」を与えるために後の展開を予感させる些細な出来事を、前もって配置しておくというテクニックのことです。
伏線の語源は、読んで字のごとく『作者が物語における線(トリック)を伏せる(隠す)』という所から来たものとされています。
ちなみに、よく似た言葉に『布石』と呼ばれるものも存在しますが、その意味は『伏線』とは明確に違います。
『布石(ふせき)』というのは「将来のための備えをすること」なので、登場人物が能動的に意図を持って打っていることであるのに対し、伏線というものは登場人物の意図とは無関係に設定されることもあるからです。
ただし、伏線かつ布石であるようなケースも一部存在しています。
例えば、付き合う前のカップルをくっつけようとするために、突然腹痛を訴え退場したサブヒロインが実は、三角関係にあったということを後の展開で暴露するようなケースにおいては、この『退場』はサブヒロインにとっての布石(一手)であり、作者にとっての伏線とも言えるでしょう。
また、作者が伏線を作成することを「伏線を張る」あるいは「伏線を敷く」と言います。この二つの表現には、大した意味の差異はありません。以下、念のため辞書からの引用も補記しておくことにしますね!
伏線とは、伏線の意味
伏線とは、物語の解決方法を事前にほのめかしておくことである。英語では伏線を hint と表現する。作り手が劇中に伏線を忍ばせる行為を「伏線を張る」と呼ぶ。なお、目的達成のために準備を進めることを「伏線」と称する場合があるものの、これは勘違いである。伏線とは受け手に気づかれにくいよう結末をほのめかすという意味であり、情報が露骨に明示されているケースは該当しない。
引用元:実用日本語表現辞典
★COLUMN:伏線の具体例について
シンプルな例としては、冒頭に挙げたものを参考にしてみると良いでしょう。もし更に高度な伏線をみてみたいのであれば「ひぐらしのなく頃に」を参考にしてみるのが良いかもしれません。あそこまで伏線がひしめき合っているような作品は、なかなか類をみません。最近も「リメイク」と称してアニメを再放送させていますが、実はリメイクではなくオリジナル続編だったという、とんでもない伏線を物語が始まる以前から仕掛けられていて驚愕しました(笑)。シュタインズ・ゲートという作品においても伏線は大量に張られていますが、タイムトラベルものは謎を紐解くのが難しく特殊な部分でもあるので、具体例としては除外しておきたいと思います。
伏線回収とは?
さて、伏線(作者が隠した仕掛け)を読者に仕掛けた瞬間を「伏線回収」というわけですが、物語の構造において解説しておいた『起承転結』や『序破急』と組み合わせることによって、より効果的な演出が可能になることが知られています。
例えば、起承転結において物語は事件や不満から始まりますが、そのまま何事も無ければオチがつけられません。そのため、事件は未解決から解決へ、不満は憤りから悟りへ向かっていくように書くことで「転」を生み出すことができるのですが、この転のために伏線をあちこちに配置しておくというものがあります。
事件や不満といった問題を根本から解決することよりも、最初から読者に勘違いをさせておいて事実を開示させたほうが書き手としては随分書きやすいからです。
また、序破急においても同様です。というより、むしろ序破急のほうが伏線ありきな考え方だったりします。
なぜなら、序破急というのは読者のテンションや話の盛り上がりに、ホップ・ステップ・ジャンプを作ってあげるという構成のことですが、これは主人公の行動にいろんな制限や足枷を用意したところから物語を始めて、そういった制限を次々に破壊していくことによって発生させることができるからです。
特に、王道系・ジャンプ系の作品においては、実はまだ本気を出せていなかったとか、こういった封印や呪いを昔に受けていたといった伏線を回収していく流れを確認できると思います。『七つの大罪』などが良い例となってくれているでしょう。
追記:2020/10/17
また、すこし興味深い話ができたので追記してみます!
たまに、『驚き』を作るために読者の予想や期待を「超えていこうとする」方がいらっしゃるようですが、個人的に、これはなかなか難しいやり方だと思います。ともすれば、なんでもかんでもツマラナイと思えてしまいそうな思考法だからですね。
どちらかというと、予想を上回る必要性はあんまりなくて、ただシンプルに予想をさせないように「事実を上手く隠す技術(伏線)」のほうが、なんとなく大切な気がしています(経験談)。
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