マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)とは?
みなさんは、マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(米: Manic Pixie Dream Girl)、通称『MPDG』という言葉をご存知でしょうか?
もったいつけずに言ってしまえば、物語の中へ登場してくる悩める主人公の元へ訪れては、人生の楽しみ・希望を思い出させてくれる、まさに夢のような少女のことを『マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)』と呼びます。
そんなMPDGですが、物語を書き出そうとするときなんかに着想を与えてくれることがあるプロットデバイス(=物語を面白くする工夫)の一つでもあるので、一応紹介しておくことにしたいと思います。
※ちなみに、マニック・ピクシー・ドリーム・ボーイ(MPDB)という言葉もあります。その違いは、主人公やキャラクターの性別だけなので、意味合い的にはあまり差はないものと思ってもらって大丈夫です。
マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)の具体例
マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)という言葉は、元を辿るとアメリカ映画である『エリザベスタウン』の登場人物であった、クレアという人物から来ていることが知られているので、
最も正確かつ適切な例を挙げるとすれば、このクレアという人物となるでしょう。
ただ、日本では『エリザベスタウン』は有名でもないので、『涼宮ハルヒの憂鬱』に登場してくる「涼宮ハルヒ」というキャラクターのようなものだと考えてみれば、想像しやすいのではないかと思われます。
ご存知の方も多いかと思われますが、一応『涼宮ハルヒの憂鬱』について少しだけ補足しておきますね。
『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品は、どこか心の底で平凡な日常をつまらなく思っていた主人公キョンが、宇宙人や未来人、超能力者を探し続けている一風変わった少女である涼宮ハルヒと遭遇する所からはじまります。
要するに、平凡な日常のつまらなさに悩む主人公(読者)に対して、涼宮ハルヒは人生観を変えてしまうほど波乱万丈な日常を届けてくれる存在として描かれていくことになるのです。
このように、「涼宮ハルヒ」というキャラクターは、作中で主人公や読者が求めているものを、ほとんどそのまま提供してくれる夢のような存在になっているわけです。
そういう意味で言えば、「涼宮ハルヒ」というキャラクターもマニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)の一種と言えることでしょう。
マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)の活用法
さて、ここからが本題です。マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)というと、用語的でなんとも難しいように聞こえている方もいらっしゃるかもしれませんが。
要するに、ストーリー進行における導き手のことだと思っていただければ結構です。
物語において主人公が何か思い悩んでいたとすると、そのままではストーリーが進まないですから主人公を引きずり回したり、牽引してくれるようなキャラクターが居ると何かと便利なんですよね。
逆に言えば、普段わたしたちが抱えているちょっとした悩みや愚痴、無い物ねだりみたいなものを全面的に補完してくれるようなキャラクターから作品を創り始めると、物語が勝手に動き出して書きやすいよというお話です。
といっても、これだけだと伝わっているか不安なので、わかりやすい例をあげることにしますね。
例えば、ある主人公が上手く人間関係を築けずに困っていたとしましょう。そんなとき、誰とでも仲良くなれる天真爛漫な女の子が現れて、主人公と友達になりたいと言ってきたとします(まさに夢のような女の子ですねw)。
そして、あれこれと手伝ってくれるわけですが、これがなかなか価値観が合わなかったりして、終いには僻んで言い合いをしてしまったりするわけです。
そんなとき、実はその女の子も過去に自分と同じ状態にあったんだけど、何度も失敗しながら今までがんばってきていたということが発覚して、自分も頑張ろうと思うといった展開なんかが挙げられるでしょう。
やはり、人間というのは誰しも多かれ少なかれ悩みを抱えているものです。その答えやヒントを教えてくれそうなキャラクターたちが、快く手を差し伸べてくれている物語に惹かれない理由はないでしょう。
こういった物語は、芸術性だけでなく実用性を兼ね備えている部分もあるので、書き手の愛情を感じやすかったり、一時しのぎであっても心強い味方ができたような感覚を私たちへ与えてくれることがあります。
もし本当に悩んでいる人が読者であったとすれば、藁にもすがる思いで読み入ることは間違いないでしょう。
このように、人の悩みといった不幸な状況から物語が始まって、魅力的な牽引者(=キャラクター)によって導かれていくように物語を構成していくと、
キャラクターの進むべき方向が、最初から最後まで決まっているようなものなので描きやすくなることがあるというわけですね。
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