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エピグラフの意味とは何か?|小説におけるエピグラフの書き方と著作権について

エピグラフの意味


エピグラフ(ギリシア語:epigraph)とは、小説や書籍の本文が始まる前に記されることがある「詩」や「引用文」といった短い文を用いた、文学における表現技法の一種のことです。和訳は、碑銘・碑文です。

 

エピグラフの具体例としては、「キノの旅」という作品の冒頭にある以下のような文が挙げられます。

 

「世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい。」
出典:キノの旅 第一巻

 

エピグラフの語源は、ギリシア語の「~の上に書かれたもの」という語句からきています。つまり、「岩の上に書かれたも」ということで、元々は碑銘や碑文を意味する言葉だったようです。

 

※碑文(ひぶん)とは、神殿や寺院、お墓などで見かける石に掘られた短い文のことです。





 

エピグラフとエピグラムの違い


エピグラフと似た言葉に、エピグラムという言葉もあります。これらは語源が同じため記載が似ているのですが、現代における意味は、結構違います。

 

エピグラムとは、完結でユーモアに富んだ短い詩のことで、元々はエピグラフと同じだったものです。

 

しかし、エピグラムは古代ローマと歴史を共にしていく中で、なぜか次第に卑猥で下品な大衆娯楽になったもののことを言います。

 

具体例としては、以下のようなものがあるようです。

 

例文:驚いた。壁よ、おまえはよくぞ壊れなかった/こんなに多くの詩人たちのうっとうしい詩に持ちこたえて

 

一説によると、「便所の落書きのようなもの」とまで言われているようです。これと碑文を一緒の言葉にするのも気持ち悪いですよね(笑)だから、言葉が分かれてしまったということなのでしょうか。

 

そういうわけで、現代の文学表現の呼び名としては「エピグラフ」の方を呼称として採用しているようです。

 

小説におけるエピグラフの書き方


小説におけるエピグラフの書き方は、主に二種類あります。

 

一つは、名言や格言のようなものを引用して、そのまま使う場合です。こちらは、引用するのに著作権は大丈夫か?という問題が発生します。

 

もう一つは、独自に物語にまつわる短い文を考えて記述する方法です。こちらは、決まった書き方というものはありません。

 

ただ、こういう風に活用したら良い演出効果が得られそうだという例を後ほど見ていくことにしたいと思います。

 

・格言や名言を引用する場合

格言や名言を引用して、利用したい場合は著作権の問題が頭に浮かんでくることだろうと思います。

 

これは作者が没後50年以上が経過している場合は、まず問題になることはないでしょう。

 

とはいえ、50年も経過していれば言い回しもかなり変わっていると思うので、基本的には作者が存命か死後50年経過していないパターンの方が多いことでしょう。

 

結論から言えば、俳句や短歌、詩歌、交通標語といったそれ単体で高い芸術性を持つものであれば、著作権法違反と判断されることもあります。

 

ただし、日本の法律においては基本的に、短い文に著作権があると判断していません。そんなことをすると、たまたま短い文を書いてみたら一緒だった、といったことになりかねないからです。

 

素人には、容易に判断がつかないケースもあると思いますので、不安であればSNSなどを利用して本人に許可を取るか、自分でオリジナルのものを考えてみることをオススメしておきます。

 

・オリジナル・エピグラフの書き方

そもそもエピグラフを書くことによる著者のリットとしては、「本文への誘導ができること」と「布石や伏線として活用できること」、「読者へ印象を残すこと」が挙げられるでしょう。

 

例えば、上で説明させていただいた「キノの旅」の例のように、一見矛盾を孕んだ短文を入れておくケースが「本文への誘導」に当たります。

 

わかるような、わからないような言葉をエピグラフとして起用すると、読者に「これは一体、どういう意味なんだろう?」と疑問を作り出させることが出来ます。

 

人は、一度疑問を抱くと解決するまでモヤモヤするのです。クイズ番組で、なかなかクイズの答えを出してもらえないときに、トイレをCMまで我慢するのと同じようなものですね(笑)

 

このように、矛盾を孕んだ文によって「引き」や「読者の感心」を創り出す修辞技法を「撞着語法(どうちゃくごほう)」と呼びます。

 

具体例:「貧困にあえぐ者こそが、本当の金持ちだ」、「美味を求める者たちへ告ぐ。世界で一番美味しい料理は、ドブ飯であることを知れ」

 

これが、エピグラフの一つの書き方「本文への誘導を目的としたケース」となるでしょう。

 

※ただし、物語に一切関係なくエピグラフを書く目的もないのであれば、読者に解答のないクイズを解かせるような状態になるので、おすすめしません。

 

また、読者へ作品の印象を残す際に用いられることもあります。

 

これは例えば、連載中の各巻にエピグラフが書かれていて、それらを全て集めた時に謎が解けるというようなトリックを組む場合。

 

巻頭にあるエピグラフをあえて古代ギリシア文字などの絶対に読者が読めなさそうなものにしておいて、巻末にその和訳をすると、作品の真意が解明される仕組みにしてある場合。

 

他にも、同じエピグラフが巻末と巻頭にあるけれど、小説を読む前と読む後で見るとニュアンスが変わっているように見える場合などがあります。

 

【おまけ】劇中劇(作中作)としての機能

エピグラフは、作品世界の中にある作品(=劇中劇・作中作と呼ばれるもの)として、詩や短編童話のような形で登場してくることもあります。

 

このパターンに多い傾向は、「布石や伏線としての活用」です。

 

布石(ふせき)とは、「先の展開に備えて準備しておくもの」のことで、伏線(ふくせん)とは「先の展開をほのめかすもの」です。エピグラフとしては、少し長めにはなりますが。

 

「むかしむかしあるところに、こういう人がいて、こういうことがあったんだよ。そうやって、いまの世界がこうなったんだ」と語るんです。

 

この童話の中に少しだけ謎も残しておいたり、登場人物に叙述トリックを加えておくのがポイントになるでしょう。

 

例えば、「彼女は、それを見て目を見張ると。納得したように眠りについた」というように、「それ」の部分をぼかして読者に謎を残す場合もありますし、

 

「Aさんは、Bさんにずっといじめられていた」と童話の中でぼかして語っておいて、AさんとBさんに似た特徴をもった人物を本文で描き出した後、

 

実は、BさんがAさんをいじめていたというような、錯覚を利用したどんでん返し的な展開に持っていく場合もあります。このように、事情説明の時点で誤解を招く表現を、あえて用いる叙述トリックの一種として活用されることがあります。

 

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