小説創作に「5W1H」を使うべきではない!?
物事を説明するときに大切とされている概念に、「5w1h」というものが存在しています。
意味は、以下のとおりです。
5W1HとはWho(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を指し示す言葉です。
5W1Hを意識し文章を構成することで、伝えたい情報の主旨が明確になり、かつ過不足なく伝えることができます。
引用元:ビジネスの基本「5W1H」
小説を書き始めた初心者の方であれば、一度は「『5w1h』を意識するように」と言われたことがあるかもしれませんね。
しかし、これは初心者のうちは意識する必要はないでしょう。
その理由は、説明を明確にしすぎると、読者が欲している「想像の余地」を潰すことになるからです。
むしろ、これを意識すればするほど、地の文(=会話文以外の文章)が下手くそにもなりかねないのです。
これは、「地の文」の書き方に、婉曲表現というものが関係していることによります。
▼以下の記事で、説明しておきました。
「5w1h」は、小説の技法ではない
もしかすると、プロの作家さんに聞いて「5w1h」を使ってみようという方もいらっしゃるかもしれませんが、
それは、プロが ≪新聞や映画で使用される技法≫ を独自に解釈して小説の世界に取り込んだから、活用できているというのが正確です。
脚本(シナリオ)をつくる際に使用する「箱書き」という場面を整理するものがあるのですが、これに「5w1h」を用いることはあります。
しかし、これは役者や大道具などに指示を出す必要があるから書いていて、読み手が協力的であることを前提にしています。
小説の場合は、読み手が必ずしも協力的ではありません。
読みづらかったら、途中で本を投げて布団に入ることが想像に難くないのです。※映画製作者が脚本を読む場合は、それは不可能です。
そもそも「5w1h」とは、あくまで明確に伝わるように説明するときの方法論であって、小説といった芸術作品においては副作用すらもたらすのです。※説明不足でわからないとよく言われる方は、意識すると良いかもしれません。
小説に当てはめて脚本に使用される「5w1h」を応用するのであれば、場面(シーン)を用意した後、
各場面で何を描こうかと考えるときの一つのネタ候補として、「5w1h」も盛り込んでおくか。といった程度の使い方になります。
その場合、順序は「ホールパート法」と呼ばれるプレゼン手法にもあるのですが、全体から細部へ。
つまり、どこで→いつ→だれが→何を→どうした→どのように、とすると良いでしょう。ただし、決まりはありません。
なぜ、多くの方々が「5w1h」に頼りたくなるのかというと、
「地の文に何を書けば良いのかが、わからない」ということが、最も大きな要因だと言えるでしょう。
それでは、地の文(=会話文以外の文章)には、一体何を書けば良いのでしょうか?
ポイントは、『箱書き』の使い方にあります。
▼ 少しだけ、つづきます。
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