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プロの作家に用いられがちなレトリック3選!|レトリック講座vol.6~vol.8

 

プロの作家とアマチュア作家の違い

 

アマチュアとして小説を書いていると、息抜きや勉強にプロ作家さんの作品を読むことは少なくないと思います。

 

「自分の書いている小説」と「有名作家さんの小説」の文章をみて、何かが違うのはわかるんだけど、一体なにが違うのかよくわからないということはないでしょうか。

 

今回は、そういった勤勉な方に向けて「プロの作家さん」と「アマチュア作家さん」の文章表現における違いを数点ピックアップしてみました。

 

小説には、いろんなジャンルや書き方があるため一概に自分とプロとの差が「技術的な差により出来たもの」なのか「好んで使っている技法によって出来たもの」なのかを判別することも難しいです。

 

そういったときは、レトリック(修辞法)を勉強するのが手っ取り早いです。というわけで、ここからは「プロの作家さんがよく用いているレトリックたち」をご紹介していこうとおもいます。

 

プロ作家が使いがちなレトリック

 

待望法(たいぼうほう)

 

待望法(たいぼうほう)とは、最も述べたい言葉を文の最後に持ってくることで先の展開をわざと引き伸ばすレトリック(修辞法)のことです。

 

待望法の活用は小説に留まらず、映画やアニメ・漫画などにも応用されています。

 

テレビCMの前に「番組の展開をボソッと言われて、CMの間そわそわして待っていた」という経験はありませんか?まさに、アレのことです。

 

実践的な解説にするため、以下に「待望法」の例文を用意してみました。

<待望法の用例>

 振り向いた瞬間、耳を劈いていた蝉の声は嘘のように消え去る。

目を見開く私。その視線の先には、二度と会えないはずの≪彼女≫が写っていたーー。

私は、どれほど彼女に頼ってしまっていたのだろうか。

視線の先で風に靡く薄生地に。その懐かしさを覗かせる輪郭に。そして、その瑞々しい瞳に。

白昼夢を見せられていた私は、ようやく現実へと戻ることができたようだ。彼女が亡くなってからというもの、私はしばらく会社を休んで彼女と初めて出会った場所にきていた。

 そして、そんな私の視線の先には≪彼女の姉≫の由香が居た。

 

用例では、「主人公が亡くした大好きな彼女に良く似た、彼女の姉を見つけた」という場面が描かれています。

 

この文章が全体を通して伝えたいことは、あくまで「彼女の姉を見つけたこと」に過ぎません。

 

しかし、あえて「二度と会えないはずの≪彼女≫が写っていたーー」と、彼女が亡くなっていることを知っている読者にとっては、超展開ともなり得る状況説明が入ってきています。

 

そして、「え!?彼女生きてたの!?」と読者がハラハラしているところに「赤字の長文」をぶち込みます(待望法)。簡潔にいえば、焦らしプレイですね(笑)

 

例えば、赤字の部分だけを説明しようとして文章にすると、どうしても面白さにムラのある文章ができてしまいます。

<待望法が無いパターン>

[キャラの言動]←面白い

[説明描写]←面白くない

(↑読者が離脱するポイント)

[キャラの言動]←面白い

 

ここで、待望法を用いると以下のような構成になります。

 

<待望法が有るパターン>

[キャラの言動]←面白い

[説明描写]←続きはよ!

(↑読者を引き止めるポイント)

[キャラの言動]←面白い

 

 

※ただし、話の「オチ」もきちんとしていなくて読者にガッカリされてしまうことや、「オチ」までが長すぎて激怒されることもあるので焦らしプレイも程ほどにしましょうね!w

 

マラプロピズム(誤用法)

 

マラプロピズムとは、敢て間違えることで面白おかしくする喜劇手法の一つです。コメディ作品なんかで多用されています。

 

以下、具体例をみていきましょう。

<マラプロピズムの用例>

① アニメを見るときは、部屋を明るくしてTVから30メートル離れてミエナイヨーと叫びやがってください。

② 時はカニなり( ー`дー´)キリッ(時は金なりの誤用)

 

小説を作り出した初期は、面白い文章をかけていたのに最近はなかなか面白い文章にならないなぁと思っているとすれば「マラプロピズム」が不足している可能性があります。

 

マラプロピズム自体はそこまで高度なレトリック(修辞法)というわけではなく、小手先でいつでも付け足すことができるので、初心者ラック(初心者が運で、面白い作品を書いてしまうこと)が発動しやすい傾向にあります。

 

小説を書くには、ユーモアやふざけることも大切と言われているのですが、それらを体現しているのがこの「マラプロピズム」というレトリック(修辞法)でしょう。

 

同じように、誇張法(=必要以上に大げさに表現する喜劇手法のこと)というレトリックでも、初心者ラックが起きやすいので取り入れておきたいものですね。

 

列挙法(アキュムレイション)

 

列挙法(れっきょほう)とは、関連する語句を列挙することで強調するレトリック(修辞技法)のことです。

 

<列挙法の用例>

私は、どれほど彼女に頼ってしまっていたのだろうか。

視線の先で風に靡く薄生地に。その懐かしさを覗かせる輪郭に。そして、その瑞々しい瞳に。

 

上の例に登場する赤字の部分では、彼女の外見に関する説明を3度も行っています。

 

このように、「彼女の外見」を列挙することで「私は、その瑞々しい瞳にこんなにも支えられて来たのだなぁ」と書くよりも、読者の受ける印象を強くすることができるでしょう。

 

また、「列挙法」は他のレトリックとの相性も良く併用されることも多いため、いくつかのバリエーションを持っているようです。

 

あまり詳しい話は割愛しますが、今回の例だと「押韻(=文をリズミカルにするレトリックのこと)」と「省略法(=支えられてきたのだなぁを省略しているレトリック)」、「倒置法&体言止め」を組み合わせて使っていたりします。

 

もし興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、次のページで文章をリズミカルにするレトリックたち「押韻」、「体言止め(喚体句)」、「倒置法」についてもご紹介しているので参考にしてみてください!

 

ご精読ありがとうございました!

 

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