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夏目漱石 作『こころ』/『吾輩は猫である』を読み解く!|日本文学から学ぶ小説の書き方Series.1

 

日本文学から学ぶ小説の書き方

 

小説に限らず、物事を上手く進める鉄則の一つとして「先輩の意見を聞く」というものがあります。

 

それでは、小説を書く上で先輩となる人にはどんな方がいるのでしょうか?

 

人によって思い浮かべる人物は違うかもしれませんが、夏目漱石や樋口一葉、太宰治といった「文豪」と呼ばれる方達は、少なくとも私達の大先輩と呼ぶには十分でしょう。

 

しかし、実際にアマチュア作家さんに話を聞いてみると、夏目漱石の『こころ』、太宰治の『人間失格』、中島敦の『山月記』といった文豪達の残した作品たちをしっかり探求している方は少ないように思えます。

 

まぁ、わたしも人のことは言えないのですが(笑)

 

ただ、最近になって「日本の文学作品」を読み返してみると幾つか気付きが得ることができました。

 

というわけで、ここからは普段「日本文学」に触れることがあまりなかったという作家さんへ向けて、文豪という大先輩から頂いたヒントの数々を紹介して行こうと思います。

 

「こころ」に学ぶ人気の秘訣

 

最初に取り上げる作品は、国語の教科書にもよく登場してくる夏目漱石の『こころ』です。

 

「こころ」を読んだことがない方もいらっしゃるかもしれませんので、あらすじから見ていくことにしましょう。

 

夏目漱石の『こころ』は、主人公である「私」が「先生」の残した手紙を読むところから始まります。

 

そして、その手紙には「先生が犯した過ちと、その後の苦悩の告白」が書き残されていました。

 

具体的な内容は「信頼していた叔父が、実は亡くなっていた両親の財産を奪っていたというお話」と「昔ながらの三角関係で、親友を自殺に追い込む結果になってしまったというお話」です。

 

前者の話では、「先生」が信用していた「叔父」に裏切られた話。後者の話では、信頼してくれた「親友」を「先生」が裏切った話が綴られています。

 

どちらの立場も読者に経験させるストーリー構成は、物事を多面的に見せることができるので、感情移入を効果的なのかもしれませんね。

 

裏切られた被害者であった「先生」だからこそ、「親友」にしてしまった自分の過ちに深く悔やむことになるという流れです。

 

この作品に学べるところは「連鎖的に起こる心の動きを、登場人物の行動に落とし込んで表現している点」です。

 

といっても、解りにくいと思うのでわかりやすく説明しようと思います。

 

まず、無意識に恋敵になっていた「親友」は「先生」に恋敵として恋心を告白します。これが一つ目の心の動きと解釈できます。

 

続いて、この告白を受けた「先生」の心が動きます。これが二つ目の心の動きと解釈できます。

 

「先生」は「親友の告白」を宣戦布告と見てしまったのです。

 

その結果、宣戦布告を受けた「先生」は、焦ってお嬢さんを勝ち取ってしまいます。

 

それを目の当たりにした「親友」は、何を思ったでしょうか。

 

ここについては明確には描かれていませんが、きっとここにも三つ目の心の動きがあったことは想像に難くないでしょう。

 

そうして物語は、失意に陥った「親友」が自殺してしまうという展開へ進むことになります。

 

このように、「登場人物たちが互いの心を強烈に動かし合う展開」を動作として綺麗に落とし込んでいる所が『こころ』の人気の根源だと言われています。

 

もちろん、時代に即した人気というものもあるので、一概に文豪の作品を探求すれば成果が出せるかと問われれば、そうではないかもしれません。

 

しかし、現代の戦争もの作品を見ていると『こころ』の構造と似たものを感じます。

 

強い思い同士のぶつかり合い、苦難や葛藤が人の間で連鎖するという物語構成は、人気な作品の一つの型といえるのではないでしょうか。

 

「吾輩は猫である」から学ぶ人気の秘訣

 

せっかくなので、続いても夏目漱石の『吾輩は猫である』という作品から、物語の作り方を学ぶことにしましょう。

 

もはや、聞いたことがないという人は少数派だと思われるインパクトの強いタイトルですが、そのユーモラスさには驚かされるものがあります。

 

内容をザックリ説明すると、「吾輩」という独特な一人称を使う猫が、人間というものを哲学的な視点で捉え描写していくというものです。

 

この作品が有名になった理由には「薀蓄(うんちく)が豊富だったこと」や「ユーモラスに富んでいたこと」があるとされています。

 

現代でも薀蓄(うんちく)を柱とした作品として、西尾維新先生の『掟上今日子の旅行記』という作品があります。

 

「エッフェル塔を盗む」という犯行予告に迎えうつという一風変わった推理小説ですが、エッフェル塔と自由の女神にまつわる秘話を垣間見ることができます。

 

やはり、好奇心というのは人の心を刺激します。現代でも蘊蓄(うんちく)は、読者を魅了する一つの要素なのではないでしょうか。

 

また、人ならざる者を主人公とする作品には独特なユーモラスがあるものです。車を主人公にした作品や、機関車を主人公にした作品まであるのですから、世界は広いものですね。

 

というわけで、今回は初回ということで夏目漱石大先生の作品から人気作品は何故人気足り得たかというところに迫って参りました。

 

守破離という言葉がある通り、大先輩の書き方を真似る事が小説を売れるようにする唯一つの方法というわけではありません。

 

ただ、良質なヒントや気付きを私達に与えてくれるという意味では、あらすじだけでも読んでみると中々勉強になると思います。

 

それでは、ご精読ありがとうございました!また遊びに来てくれると嬉しいです♪

 

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