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小説・ラノベの戦闘シーンの上手い書き方&例文まとめ!|バトルシーンを書くコツとは?

小説・ラノベの戦闘シーンの上手い書き方&例文まとめ!


戦闘描写って、いきなり書こうとするとなんだか難しいですよね(笑)

 

そもそも戦闘といっても、ファンタジー作品にありがちな凶悪なモンスターとの対峙シーンなのか、VRゲーム内のスライム狩りシーンなのか、対人の銃撃戦シーンなのかといったところで、描写の書き方もコツも、その戦闘がストーリーにおいて持つ目的すら全然変わってきてしまいます。

 

これが戦闘描写を難しいと思わせている主な要因なのでしょう。

 

結論からいえば、戦闘シーンを書きたいのであれば、①戦闘の目的を考え、②その目的を意識した箱書きを作成し、③ダッシュ記号や擬音語、倒置法を活用した単文中心の文章を紡ぐと良いでしょう。

 

また、これは一読者として頼みたいことなのですが、冒頭に戦闘シーンを持ってくる場合は脳内で映像化できることが最低条件になると思ったほうがいいでしょう。

 

なぜなら、冒頭から戦闘シーンだと読者からすれば戦闘の目的が不明確にされている状態なので、戦闘シーンには映像的な楽しみ方しか残されていないからです。

 

というわけで、ここからは上記の結論に至るまでの考察をしていこうとおもいます!

 

戦闘描写の魅力とは?


そもそもの話なのですが、小説に限らず物語において戦闘描写はなぜ必要なのでしょうか?

 

どこに魅力があるのでしょうか?

 

ある人は「圧倒的な強さで見返すロマンが良い(例:ワンパンマン、賢者の孫、オーバーロード)」といい、またある人は「次の展開を左右することになるからと、ハラハラさせられるのが良い(例:Fate、魔法少女まどかマギカ、銀河英雄伝説)」というでしょう。

 

その他にも「叶いそうで叶わない主人公の悲願を応援したくなるシーン(例:SAO、七つの大罪)」や「仲間との掛け合い、増援が来るシーン(例:防振り、幼女戦記)」、「好奇心を誘う知性たちがぶつかり合うシーン(例:デスノート、罪と罰、ナイツ&マジック)」などが魅力的なシーンと評されることもあるようです。

 

なるほどなるほど、いくつかあるようですが、戦闘シーンの魅力がどこにあるのかについてはなんとなくわかってきましたね。

 

それでは、戦闘シーンの魅力を最大限に引き出すためにはどうすればいいのでしょうか?

 

もう少しだけ掘り下げてみることにしましょう。

 

戦闘描写には必ず意図を持て!


たとえば、圧倒的な強さで見返すシーンであれば、馬鹿にされてからの圧勝という展開になるものが多いでしょう。みなさんも、少なからずみたことがあるのではないかとおもいます。

 

こういった場合は、戦闘が始まる前に結果が決まっていますから、肉薄するような戦闘描写はあまり重要ではなく、相手が恐れおののく姿に注力することになりそうですよね?

 

一方で、次の展開(勝敗など)がわからないパターンはどうでしょう?

 

こちらはバトル・ロワイアルもの(例:未来日記、Fate)に近いイメージを抱いてもらえばわかりやすいとおもいます。

 

こういった場合は力が拮抗していることも多いでしょうし、それぞれのキャラクターが持つ信念や正義といった思惑を錯綜させやすいでしょう。勝者にとっては目的への一歩前進となるでしょうし、敗者にとっては悲劇を描くことができます。

 

そのため、どちらかといえば戦闘描写で注力するポイントも、自ずとキャラクターの戦う意義や後悔、意外な横やりなどのヒューマンドラマにあるのではないかとおもわれます。

 

このように、うまい作品における戦闘をよくよく観察してみると、パターンによってスポットライトを当てられる魅力的な要素が異なっていることに気付かされます。

 

そして、注力すべきポイントは戦闘中だけではなく戦闘の結果(後遺症や毒、スキル取得など)にもあることがわかります。

 

つまり、戦闘描写というのは戦闘に入る前からすでに始まっているし、戦闘が終わった後でも展開に影響を及ぼすことを忘れないようにしてほしいのです。

 

冒頭から戦闘でド迫力に始まる作品を散見しますが、記のようにストーリーにおける戦闘描写の意図が読者に伝わっていなければ、読者がおいてきぼりにされてしまう危険性がどうしても拭えなくなるということは覚えておくと役に立つでしょう。

 

市販の作品や今回参考にさせていただいた40作品ほどの傾向を踏まえると、ストーリーにおける戦闘の目的というのは大体、以下のツイートのようにまとめることができるのではないかと思います。

 

そして、最近の傾向としてはロマンが最も支持を集めているようですね。

 

 

戦闘描写の書き方(基本編)


「戦闘に目的や意図が必要なのはわかった。で、結局どうやって書けばエエんや!」という声が聞こえてきそうですね(笑)

 

というわけで、そろそろ本題に入っていくことにしましょう!

 

いままではあまり触れてきませんでしたが、戦闘描写において重要なのは『箱書き』『5W1H』です。

 

通常、初心者が地の文に『箱書き』や『5W1H』を用いるのは完璧主義に陥る要因となりがちなのであまり推奨してきませんでしたが、キャラクターの動きが複雑になる戦闘描写においては思考を整理し、説明に過不足がない状態にしておく必要が出てくるからです。

 

やり方は、『箱書き』の記事で紹介している通り意図を意識することですが、もう一度具体例をあげることにしてみましょうか。

 

たとえば、ドラゴンと対峙するシーンを描きたいとしましょう。場面意図は「登場人物が故郷をドラゴンから守るために対峙するが、自分の力量不足に絶望させられるトラウマ的な場面(↑の説明でいうところのハラハラ感の部分)」だとしましょう。

 

【戦闘描写の意図・目的】
  • 読者にハラハラ体験をさせて、感情移入を促進させること。
【5W1H】最低限、説明すべきことのリスト
  • Who … 主人公が、ドラゴン相手に、1対1で(主人公主観視点で)
  • when … 辺りが暗くなって街頭の明かりがついている頃、短時間で
  • Where … 見慣れた故郷の街中で
  • Why … 故郷の人々を守るために
  • How … 魔法で、負ける
【箱書き】「ドラゴンに敗北するシーン」で起こる出来事一覧(時系列順)
  1. ドラゴンの屈強そうな姿を目視して固唾をのむ。
  2. 罪なき人が殺されている場面を直視。
  3. 手の震えや動悸を自覚。
  4. ドラゴンと目が合う。
  5. 得意である氷魔法による攻撃を試みる。
  6. 全く効果がないことを悟る。
  7. ドラゴンの尻尾で壁に叩きつけられる。
  8. 意識がフェードアウトする。

 

このように書くことを整理してさえあげれば、書くのも随分楽になりそうじゃないですか?

 

コツは、本文を書く前にこうやって整理するところにあります。

 

戦闘描写というと、つい右手の動きがあーで、次は左足がこう動いてー、と視覚的な情報ばかりを書きそうになってしまいますが、ぶっちゃけ読者からすると読んでても「とにかく、なんか戦ってるんだな」くらいにしか思われてないと思います。

 

たしかに、戦闘描写は「肉体の風景描写」と呼ばれることも多いそうですが、それだけでは没入感が少し足りない事も多々あり、そのままでは離脱の原因になってしまうでしょう。

 

箱書きの時点で『恐怖』といった非視覚的な情報を、より意識した地の文に棚卸ししてあげることのほうが、筆力の差にはつながるのです。

 

例で言えば「固唾をのむ」、「目の前で起こっている絶望」、「手の震えや動悸」、「敵が攻撃を受け付けない」といった出来事は、すべて『恐怖』を中心とした演出になっている事がわかると思います。※ただし、箱書きを使うと完結できなくなる事がめちゃくちゃ多いので、本文を書き終わった後の書き直しで使うことを推奨します。

 

ここまでくれば、戦闘描写を書くことは可能でしょう。続いては、どうやったらうまく書けるかについての議論をしていくことにしたいと思います。

 

戦闘描写の書き方(中級編)


強いて一言でまとめるとすれば、メリハリを付けると良いでしょう。

 

より具体的にいえば、ダッシュ記号や擬音語、倒置法を用いた文体にはスピード感を出したり、迫力を持たせることができます。

 

しかし、使いすぎると強調効果が薄れやすいので、モンスターや人物の動きに関する映像的な描写と調和させながら書くことが大切になるということです。

 

また、これを言ってしまうと身も蓋もない話ではありますが「百聞は一見に如かず」と言う通り、ケース別に例文をみて、上手い人の真似しちゃったほうが圧倒的に楽ではあります。

 

そこで重要になるのが「どうやってケースを分類するか」でしょう。いろいろと読み込んでみた結果、戦闘シーンの雰囲気を大きく変えている要因には以下のような要素があるようでした。

 

★戦闘描写の仕方に大きく関わってくる要素
  • 魔法などの異能力が、登場してくるか?→ 武器の魅力を引き出せるかも!
  • 戦っている相手が人間か、人外(モンスター)か?→ モンスターの描写でリアリティを引き出せるかも!
  • 俯瞰的な視点か、主人公の視点か?→ 文体を揃えると書きにくいなら変更しよう!
  • 味方や中立相手がいるか、居ないか?→ 仲間の魅力を引き出せるかも!
  • 戦闘の真剣さはどれくらいか?→ セリフの頻度に注意!

 

なぜ、大きく描写の方法が変わるかといえば、描写可能な対象が大きく異なるからです。

 

たとえば、魔法が使えるのであれば、詠唱や超自然的な現象を引き起こさせて派手な描写を行うことができます。一方、機関銃や剣で戦うのであれば、弾倉(マガジン)や刀身の光沢を描写することができるでしょう。

 

魔法か武器というのは戦闘に不可欠な要素ですから、おおよそどちらかは登場してくることになるでしょう。最も書きやすい小道具ですね。

 

続いて、敵がモンスターである場合は、モンスターの外見を事細かに描写することができます。もし人が相手となると「どこの組織の回し者だろうか?」くらいしか視覚的な描写はできないでしょう。セリフの応酬になるケースが多そうですね。

 

味方が居るのであればキャラクター同士の掛け合いを用いることもできるでしょう。敵を倒す際に、敵との対話をするのか、味方との対話をするのかで合間に入るセリフの意図が変わってきます。

 

一般的には、戦闘が真剣な場合には口数が少なく、戦闘がゲーム内などの死んでもOKな場合では口数が多くなると言われています。

 

このように戦闘シーンでは、文体が変わることもよくあります。そのため、口数や文章の長短、視点は俯瞰的にすべきか主観的にすべきかといった点は、今一度確認しておいたほうが良いと思います。

 

一般的には、戦闘シーンはテンポが重要視されるため文章を短くすることが良いとされているようですが、脳裏に映像が出るような地の文であれば長くても違和感はないでしょう。

 

さて、ザザッと話してきましたがここまでを要約しておくことにしましょうか。

 

要するに、上記5つの要素のうち、一つでも使える描写があるのであれば、文章的な魅力に繋げやすいので使っちゃいましょうということですね。

 

そして、ケース別の具体例を持ってきましたので、以下例文を見ていくことにしましょう!

 

戦闘描写の例文資料


さて、以下にケース別の具体例をあげておきましたので、いま描きたい場面に当てはまるケースを探して、活用してみてくださいね。

 

※ごく一部しか掲載できていないので、気になる描写があれば、引用元から本文を読みに行ってみると良いでしょう!

 

1.魔法の魅力を描写しているケース

 魔獣の足元に大きな法術陣が浮かび上がり、瞬時に炎が吹き上がった。大火力の聖なる炎が魔獣を焼き焦がし、叫びを上げながら炎に抗おうと、魔獣は首や尾を振り回して暴れもがく。
魔獣はその信じがたい法術の威力に四肢を折って床に崩れたかと思った瞬間、勢いよく上空に飛び上がった。
三十メートルほどの大聖堂の天井まで一瞬で飛び上がり漆黒の翼を広げ空中に逃れるが、炎に焼かれた体は表面から小さな粒子が崩れるように剥がれ消えていく。
翼を羽ばたかせ襲い掛かろうとするエイザーグに、アムサリアは剣を掲げていた腕を前方に振り降ろして新たな法文を叫んだ。
「セイング・ブラスト・レイン」
憤怒しているだろう魔獣のさらに上に現れた法術陣から、無数の光の雨が無防備な背部に降り注ぐ。激しい光の雨は接触すると次々に小さな爆発を起こして翼を穿ち、体を削り、魔獣を地へと叩き落した。
聖なる炎の残り火が魔獣を焼き続け、さらに体を焼き崩してゆく。
引用元:偽りの英雄 聖闘女アムサリア

 

2.モンスターの仰々しさを演出したいケース

 本来現実には存在しないはずの魔物、ゴブリン。ゲームでは目にする事が多い序盤の敵だが、現実で見るそれはまるで威圧感が違って、あまりに醜悪な姿に虚は吐き気を覚えた。何せ、その人ならざる魔物は、今しがた虚の目の前で悲鳴を上げていた女性の首を、大きな口で噛み切ったのだ。
シルエットだけは人と似ているのが、人とは何もかもが違う。まるでゴキブリと相対した時のように、目の前のそれが敵であると、虚の本能が警笛を発していた。
「グウゥゥゥ……グッチャ、ゴウゥゥゥ」
響いて来るのは事切れた女性の肉を食らう生々しい咀嚼音と、地獄の奥底から響くような、低いうなり声。創作の中だけかと思われた存在が今、現実に、人を殺め、そして喰らっている。その事実は、暗殺者として人の死に慣れている虚からしても、あまりに受け入れ難いものであった。
「ほんと、冗談だろ?」
「グウゥゥゥ……ウ」
引用元:『元世界最強の暗殺者』だけど、異世界化した現代では『最弱魔導士』です。〜攻撃適性0の情報系魔法で成り上がる〜

 

3.仲間同士の掛け合いを描写しているケース

「今だ! 芹さん、前へ!」
芹が駆けていく。同時に障壁が前へ動いた。壁と障壁との間に十分な隙間ができる。
「郷原くん、石堂くん、日比谷さん! 前に出て一斉攻撃!」
「おう!!!」
郷原が真っ先に飛び出していった。続いて石堂と日比谷も障壁の外へ出る。
このまま順調にいけば、ライオンたちは那須の分身に夢中になって反撃してこない。郷原たち三人は安全に攻撃し、ライオン達の体力を削ることができる。
引用元:性悪 ~クラス全員で異世界転移!!?~

 

4.非シリアスな戦闘描写をしているケース

「えーい!」
近づいた! どうする!? とりあえず殴ろう!
私は手に持っていた駆け出しの杖をゴブリンの脳天に振り下ろしたんだけど――
「受け止められた!? ってわわっ!」
そのままこん棒で杖を押しのけられちゃった!
しかもよろめいたのをニヤニヤしながら見ててなんか腹立つ! これならいつでもやれるぜってこと!?
「イイイイイイヤッ!!!」
そう思ってたら今度はゴブリンからすごい勢いでこっちに突っ込んできた!
「いけませんぞ! ゴブリンのスキル【ぶちかまし】じゃあ!」
おじさんが後ろから危険を教えてくれたけど、崩れた体制を直すのに間に合わない!
結果私は全力投球なタックルをもろに食らって跳ね飛ばされ、おじさんの前からやり直しになってしまった。
「痛ったーー……」
引用元:インフィニティ・フォークロア・オンライン

 

やはり、こうやって改めて具体例を見ていくと、いろんな書き方があるものですね。

 

他にも、武器のかっこよさを際立たせたり、会話のラリーが気持ち良い作品もありました。「これ良い!」と思った戦闘描写は、普段からノートか何かにメモっておくといいかもしれませんね。

 

「咆哮」とか「穿つ」という言葉は、戦闘シーンくらいにしか使われることは少ないので、いざ戦闘シーンで使える単語集みたいなものがあれば便利でしょう。

 

というわけで、『戦闘描写の書き方&考え方』についての考察でした!

 

少しでもお役に立てていれば嬉しいです。それでは(`・ω・´)b

 

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