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オートマティスム(自動書記)の意味とやり方とは?|【自動筆記・自動記述】

オートマティスム(自動書記)の意味とやり方とは?


オートマティスム(仏:Automatisme)とは、超高速で思いつくことから、とにかく文章を支離滅裂でいいので書きなぐっていくという執筆方法のことです。

 

あえて理性や論理的な枠組みを放棄することで、既存の考え方に囚われることのないまったく新しい芸術を生み出そうというアイデアとして有名になりました。

 

これをオートマティスム、自動書記、自動記述、自動筆記などと呼びます。実際にやってみると、以下のようになるそうです。

 

オートマティスムを進めていくと、まず文章の主語「私」がなくなり、次に過去形がなくなり現在形が多くなる。動詞は原形になり、名詞のように扱われるようになる。最終的には、名詞と動詞の原型と形容詞だけの世界となり、言葉の前後のつながりが消失し、それはまるでオブジェの陳列の世界になるという。
引用元:Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典

 

とはいえ、これだけを聞くとなんのこっちゃ?と思いますよね(笑)

 

最初は、とち狂った芸術家たちの奇妙な実験のようにしか聞こえないかもしれませんが、これは反戦運動と深く関わっているので、一概にそう切り捨てるのも勿体ないものです。

 

まずは、オートマティスムが生み出した作品たちと、その活用方法についてみていくことにしましょう!

 

このオートマティスムから始まる『シュルレアリスム』と呼ばれる芸術運動は、後に芸術界隈に大きな衝撃を与えることになる晩年のピカソによる抽象画や、岡本太郎の『太陽の塔』、ヘミングウェイの『エデンの園』などを生み出すキッカケとなっていきます。

 

それだけでなく、実は現代語における「シュール(=現実離れしている意)」という言葉の語源にもなっています。シュールなギャグなんて言葉も、オートマティスムから作り出されてきた産物だったというわけですね。

 

名作を生み出してきたことは理解できたと思いますが、一体どういうカラクリなのか?気になりますよね(笑)

 

詳細は『シュルレアリスム』についての記事でお話することとして、ここでは端的にまとめておくことにしたいと思います。

 

そもそも、オートマティスムが誕生する舞台パリでは、第一次世界大戦などの権益争いやらなんやらが一気に起こっていました。

 

その反戦運動勢力であった作家のアンドレ・ブルトン氏は、論理や常識といった頭でっかちに考えるから不条理なことが起こるのだということで、論理や常識をあえて放棄することで人々が本当に望んでいる世界のあり方を模索しようと動きます。

 

そこで、フロイトの深層心理学に触れて、これを芸術と組み合わせることでなんとか表現できないか、考えた末にたどり着いた技法が「何も考えずに無意識に絵や文章を書く(=オートマティスム)」というものだったというわけです。

 

要するに、理性や常識、論理的な構造に囚われることが、如何に人間を望んでいない方向に向かわせてしまうかということを私たちに教訓として残してくれているのです。

 

先述の通り、オートマティズムというと超高速で書けば良いということなのですが、主旨は理性や論理的思考からの解放にありますから、他にも半分ほど睡眠状態で執筆するといったやり方があるそうです。

 

ただ、やりすぎると幻覚や奇行を引き起こす原因となることも知られており、精神医学的な観点からすれば推奨されるものではありませんので、やりすぎには十分注意してください。

 

過去の実験では、キメラに襲われる幻覚に怯えたり、窓から楽しみながら飛び降りたくなったりしたそうです(;・∀・)

 

そのため、医学用語では「筋肉性自動作用」などと呼ばれており、心霊を信じる人々からは、チャネリングや憑依、降霊術の手法として、存在自体はかなり昔から知られていたようです。

 

これをフロイトの心理学を用いることで、科学的に再現しようとしたものがオートマティズムとも言えるでしょう。

 

作家アンドレ・ブルトン氏が、この方法で書いた小説として「溶ける魚」というものがあるそうです。ちょっと、怖いものみたさですが、一度読んでみたら良い意味でも悪い意味でも衝撃をうけるかもしれませんね(笑)

 

オートマティスムの活用方法


このように、後世に多大な影響を及ぼすことになったオートマティスムという詩作手法ですが、適切な扱い方をしてあげれば、現代の詩作(執筆など)にも十分活用することは出来ます。

 

私もたまにやるのですが、まず半分くらい寝ているような状態のときに音楽を流しつつ、曲を聞いて想像した景色や物語をひたすら寝言のように語っていきます。

 

そして、その音声を録音または音声入力しておき、起きた時にその中から面白そうなネタがあれば回収して、リメイクするという詩作方法です。

 

他にも、仕事でクタクタで脳死状態でツイートしまくったあとで編集するといった方法もあげられるでしょう。自分の潜在的無意識を暴き出すことができるので、自分の本来の願望や夢といったなかなか興味深いテーマの文章をみることができます。

 

また、もう一つ面白いのはナンセンスとの関わりです。

 

ナンセンスというと言葉通り「センスが無い」という意味の言葉ですが、ナンセンスだからこそ新たな芸術を創造することができるという考察を脳科学者で有名な茂木健一郎氏も言及していたりします。以下、引用です。

 

オートマティスムは、多くの場合ナンセンスを生み出すが、ナンセンスと新しい意味は近い関係にある。新しい創造は、しばしばナンセンスととらえられる。ナンセンスなものを意識の介在なしに生み出すことと、創造性の関係は深い。
子どもはナンセンスなものを見ると笑うが、それだけ自律的な創発に近いところにいるのである。一方、さまざまな意味の体系にからめとられている大人は、ナンセンスを拒絶したり怒ったりする。もったいぶった大人ほど、創造性から遠い存在はない。
引用元:茂木健一郎 – 公式LINEブログ

 

岡本太郎氏の発していた「芸術は爆発だ!」という言葉の真意にも、こういったナンセンスは避けて「絵かきは、ちゃんとした絵を書いてろ」とか「小説家は、型にはまった小説を書いてろ」といった職業主義に走るのは、絶対にやめろ!というメッセージが込められていたわけですね。

 

そもそもナンセンスかどうか、小説らしいかどうかなんていうのは客観的な尺度にすぎないのであって、そんなつまんないものに囚われる大人になるな。

 

真の芸術というのは尺度すら自身で創り上げるような心の底から溢れ出す情動の結果として生まれるものだといいたいわけですね。

 

こういった事を考えてみると、そもそも私たちは芸術というものが何なのかすら、ろくに理解できていない状態なのに「あれは駄目だ!」とか「これは良い!」とか言っているのかもしれません。

 

あなたにとっての芸術とは、どんなものでしょうか?いまのわたしは、人の視野を広げてくれるものだと思います。

 

自分にとっての芸術とは何か?そうやって、悩んでいる時には、以下の参考文献があなたを勇気づけてくれることでしょう。なかなか興味深いものです。それではまた!

 

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