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小説の文章力を伸ばす興味深い修辞法3選!~読者を唸らせる小説の書き方~

小説の文章力を伸ばす興味深い修辞法3選!~読者を唸らせる小説の書き方~

 

小説の文章力を伸ばす興味深い修辞法3選!

 

今回は、小説の文章力を伸ばす興味深い修辞法(レトリック)を3つ見ていくことにしましょう!

 

▼その前に「修辞法(レトリック)ってなに?」という方は、こちらをご参照ください。

レトリック(修辞法)が5秒でわかる!~レトリックの意味と種類まとめ~

 

さて、日本における修辞法は500種類以上存在していると言われていますが、実際に小説に使える修辞法はそこまで多くありません。

 

せっかくなので、有名な修辞法を頭から説明するのではなく「アマチュア小説家が悩みがちなポイント」への処方箋として、興味深い効能を持っている修辞法に絞ってお届けしたいと思います!

 

漸層法(ぜんそうほう)

 

漸層法(ぜんそうほう)とは、同じ事柄に対して徐々に表現を強めていく修辞法(表現技法)のことです。

 

字面だけみると難しく聞こえると思うので、具体例を見ていくことにしましょう。

 

漸層法の用例

  • 非常に強い揺れだった。部屋はすっかり散らかってしまった。扉が開かないので、窓をこじ開けて外に出てみたら思わず息を呑んだ。周りの家という家が軒並み、押しつぶされているのだ。心を落ち着かせ、よく見ると、遠方に濛々と煙が立ち込めているではないか。
この一連の文章は、あくまで、自身が体験した大地震についての語りである。初めは自分の家のことだけと思っていたところが、だんだんと被害の実態と規模の大きさを目の当たりにしていく様を相手に訴える仕組みになっている。

引用元:wikipedia(漸層法)

 

さて、wikipediaが優秀すぎて、ほとんど説明されてしまいましたが(笑)

 

要するに、身近で起こった小さな出来事から大きな出来事へ視点を誘導する強調表現のことです

 

漸層法という言葉自体には、あまり馴染みがない方も多いかと思われます。しかし、普段何気なく聞いているスピーチの中でも活用されていたりします。

 

スピーチの面白い人に共通しているのですが、視野をどんどん広げていって最後クライマックスを迎えるという話し方は人を魅了するものがあります。そのためか、英語では「Climax (figure of speech)」と呼ばれているそうです。

 

「話に抑揚をつけましょう」といわれたことがある方は、漸層法をマスターしておくと執筆に限らず役に立つのかもしれませんね。(私の記事にも活用してみようかな……)

 

また、小説の描写において主人公といったキャラクターたちの視線を追いかけるような順序で描写することは『同一化技法』と呼ばれ、共感を生みやすい文章を作る上で有効です。

 

有効なのは小説だけではなく漫画においても同様で、滋賀大学の論文にも『同一化技法』の一種として掲載されていました。

 

同一化技法について具体例をあげるとすれば、あるキャラクターが手紙を渡された時に手紙の内容を渡されたキャラクターの視野を借りて描写するというものが挙げられるでしょう。

 

ある意味、漸層法も視野の動きを追うと言う意味では『同一化技法』の一種だと考えることができるのではないでしょうか。

 

最後に、漸層法を使う際に気をつけておきたい点を列挙しておきますね。

  • 多用しすぎて、読者が疲れてしまう文章になっていないか?
  • 強調する場所が多すぎて、本当に強調したいところが埋もれていないか?
  • そもそも日常ほのぼの系といった向いていない作品に適用しようとしていないか?
  • 本当に強調すべきところなのか?

 

反照法(はんしょうほう)

 

続いて、反照法(はんしょうほう)についてです。

 

反照法とは、文章の最初と最後に同じような文を持ってくることで文章にまとまりを作りだす修辞法(表現技法)の一種です。

 

隔語句反復(かくごくはんぷく)や首尾句反復(しゅびくはんぷく)、首尾同語(しゅびどうご)等とも呼ばれているようです。以下、例文を作ってみました。

 

例文

この職場に着てから、もう五年が経つことになる。新入社員の歓迎会を終えた帰り道、わたしは回らない頭でふと物思いに耽っていた。この職場に来てからというもの、わたしは少しばかり成長できているのだろうか。そう思ってポケットに入れていた手帳をなんとなく手に取ると、入社時のメモ書きが目に入った。字は読みにくく、一体何が言いたいのかわからなかったが、長い歳月が経ったことを確かめるのには十分であった。私がこの職場に着てから、もう五年が経つことになるのだ。

 

例文では、文章の最初と最後に「この職場に着てから、もう五年が経つことになる」という表現が反復してなされています。

 

最初の「この職場に着てから、もう五年が経つことになる」という文では、読者は「主人公が入社5年目であること」を知ることができます。しかし、これだけだと単なる『説明』となってしまいます。

 

説明することも時には大切ですが、多くの読者にとって『説明』は負担となるようです。したがって、何かしら工夫を加える必要があります。

 

そういった、説明を説明っぽくしたくないときに使えるのが、この反照法(反復することで、文を強調し照らす技法)でしょう。

 

例の最後にある「この職場に着てから、もう五年が経つことになる」という文を見て欲しいのですが、こちらの文では最初の文だけではわからなかった「自分の成長をしみじみと感じる主人公の思考」を想像することができるようになっています。

 

こういった想像する余地を残した文は『説明』とは異なっており、読者に好まれる文章となる傾向があります。

 

それだけではなく、長い描写では話が少しずつ逸れてしまっていることもありますよね。

 

そういったときにも、初めと閉めを同じような文にしておくと文章がスッキリして読みやすくなります。

 

また、これは私の体感ですが10回くらい言わないと意外と人には伝わらないものだと思います。そういった意味でも、確実に伝えたい部分には強調表現である『反照法』を活用してみるといいのかもしれません。

 

照応法(しょうおうほう)

 

照応法とは、特定の複数場面に同じ内容の文や微妙に変化した文を取り入れることで、心情の些細な変化に気付かせたり、言動に重みを作り出すレトリックのことです。

 

照応法の例文を見て行きたいところなのですが、とても長文になりそうなので有名作品の場面で説明する事にします。

 

『モブサイコ100Ⅱ』と言う作品があるのですが、その作品の中に良い例がありました。知らないという方もわかるように解説しようと思いますが、参考までに以下あらすじです。

 

~あらすじ~

ごくフツーの暮らしがしたいと願う中学2年生・影山茂夫、通称「モブ」。一瞬で人混みに紛れてしまうほど、サエない外見をした彼は、じつは誰よりも強力な超能力の持ち主だった……。そんなモブと彼を取り巻く人々との青春や恋、静かに降り積もりやがて爆発する数々の感情。そして、かつてモブの前に立ちはだかった謎の組織「爪」の再臨。思春期真っ只中の少年の魂が咆哮する、明日はどっちだ!?

引用元:Dアニメストア

 

内容をザックリ説明しますね。※ネタバレ注意です。

 

何者かになりたいと憧れを密かに抱いていた『霊幻 新隆』は、会社をやめて町内の清掃業務をはじめ何でも屋のように働きました。しかし、霊幻は何者にもなれないままでした。

 

そんな霊幻のもとへ、一人の少年『モブ』があらわれます。当時の『モブ』は、超能力の使い道に本気で悩んでおり、霊幻はそれを聞いて戯言だと思いながらもモブ少年を諭します。

 

そのときの台詞が以下です。

 

「超能力を持っているからと言って、一人の人間であることにはかわりはない。足が速い。勉強が出来る。体臭が強いなどと一緒で、超能力も単なる特徴の一つに過ぎない。個性として受け入れて、前向きに生きていくしかないんだ。魅力の本質は人間味だ。良い奴になれ。以上!」

 

そして時は経ち、霊幻はひょんなことからハメられてしまい悪徳霊媒師としてネット上からもリアルからも大炎上します。

 

そのときに、霊幻は確かに自分のやってきたことは詐欺も同然だと自覚し、何者にもなれなかったと落ち込むのですが、それをモブが救い出します。

 

すっかり自分のしてきた詐欺行為(実際は本当に救っているケースも多い)を情けなく思ったのか、霊幻は少年モブへ「なぁ、おまえ俺の正体のこと(詐欺師)知ってたか?」と問いかけます。

 

すると、モブは以下のように答えました。

 

「そんなの知ってましたよ、最初から。僕の師匠の正体は……、良い奴だ」

 

~作品の内容はここまで~

 

この例では、『良い奴』というワードが『照応法』として二つの場面をリンクさせています。

 

とまぁ、このように『照応法』は、言葉に色々な思いを詰め込むこと出来ます。特に心理描写をする際には重要な修辞法(レトリック)となるでしょう。

 

また、『照応法』で使用した言葉は作品自体のキャッチフレーズやタイトルに用いられることがあります。キャッチフレーズやタイトルに困ったら、『照応法』からヒントを得るのも良いでしょう。

 

有名な作品としては、『君の名は。』という作品が上げられます。

 

『君の名は。』では、『君の名は?』という台詞が複数回登場してきます。

 

新海監督(作者)がこの作品で伝えたかったことは「運命の人はいる」ということなのだそうですが、場面をよくよく観察してみると、キャラクターのおかれている状況が全てバラバラになっています。

 

全くもって共通点のないバラバラな場面でも主人公とヒロインを引き合わせるように登場してくる『君の名は?』という台詞は、運命そのものを暗示している『照応法』なのかもしれませんね。

 

さて、今日も創作お疲れさまです!

 

体調には、くれぐれも気をつけてくださいね。みなさんが良い作品を作れることを祈っております。それでは!

 

※次のページは、4/9(火)更新です。

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